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▼全集・選書:人気ランキング

須賀敦子全集 第1巻 (河出文庫)須賀敦子全集 第1巻 (河出文庫) (詳細)
須賀 敦子(著)

「これから須賀敦子を読む人は、まずこの文庫版全集から」


漱石の死 (新・日本文壇史 第1巻)漱石の死 (新・日本文壇史 第1巻) (詳細)
川西 政明(著)


小説ほど面白いものはない 山崎豊子 自作を語る3 (山崎豊子自作を語る 3)小説ほど面白いものはない 山崎豊子 自作を語る3 (山崎豊子自作を語る 3) (詳細)
山崎 豊子(著)


大阪づくし私の産声山崎豊子自作を語る2 (山崎豊子自作を語る 2)大阪づくし私の産声山崎豊子自作を語る2 (山崎豊子自作を語る 2) (詳細)
山崎 豊子(著)

「近代化ということのやるせなさ」


冥途―内田百けん集成〈3〉   ちくま文庫冥途―内田百けん集成〈3〉 ちくま文庫 (詳細)
内田 百けん(著)

「馬鹿野郎」「懐かしく、ちょっと可笑しい夢の世界」「訳のわからない怖さ」「百閒小説集」「夢がテーマ、というか百閒先生が見た夢の話。」


【新版】 雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り (朝日選書(777))【新版】 雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り (朝日選書(777)) (詳細)
藤木 久志(著)

「豊臣秀吉の記述が面白かった」「歴史小説や大河ドラマでは描かれない庶民の戦国」「一般人に焦点をあてた中世〜近世初頭日本論考の代表的タイトル」「批判的知性の試金石」「瞠目の一書」


パリ左岸のピアノ工房 (新潮クレスト・ブックス)パリ左岸のピアノ工房 (新潮クレスト・ブックス) (詳細)
T.E. カーハート(著), Thad E. Carhart(原著), 村松 潔(翻訳)

「暖かく優しいまなざし。」「ピアノ:音楽に必要なこと:50過ぎてからでも作家になる方法」「好きな"対象"への、美しく抒情的なその語り口に酔わされる。」「日本からは見えないピアノをめぐるドラマが見えます」「ピアノ:音楽に必要なこと:50過ぎてからでも作家になる方法」


こころの旅 (神谷美恵子コレクション)こころの旅 (神谷美恵子コレクション) (詳細)
神谷 美恵子(著), 米沢 富美子(解説)

「人生とはこころの旅である」「子育ての前に読んでおきたかった」「人生で迷ったときにめくる本」「そのあと誰に出会うのか?」「今の自分の位置」


須賀敦子全集 第2巻 (河出文庫)須賀敦子全集 第2巻 (河出文庫) (詳細)
須賀 敦子(著)

「全集を2から読み始めましたが最高にいいですね。」


向田邦子全集〈10〉エッセイ6 女の人差し指向田邦子全集〈10〉エッセイ6 女の人差し指 (詳細)
向田 邦子(著)


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▼クチコミ情報

須賀敦子全集 第1巻 (河出文庫)

・「これから須賀敦子を読む人は、まずこの文庫版全集から
須賀敦子の文章は癖になる。たまたま「本に読まれて」を手に取る機会があって、その文章の美しさに惚れ込んでしまった。その文業が、すでに文庫版全集になっているとは……。デビュー作「ミラノ 霧の風景」と第二作「コルシア書店の仲間たち」が1冊になって、単行本未収録の「旅のあいまに」も入っていて、お買い得。これから須賀敦子を買って読もうという人は、当然、この本から手にすべきです。

須賀敦子全集 第1巻 (河出文庫) (詳細)

大阪づくし私の産声山崎豊子自作を語る2 (山崎豊子自作を語る 2)

・「近代化ということのやるせなさ
「私は大阪で生まれ、大阪で育ち、大阪で就職し、大阪で作家となった。」という「はじめに」で始まるこの作品集ですが、わずか一つの文に大阪が4回出てきます。これは私のような大阪マニアには見逃せない作品でした。中身はというと、著者が様々な場所に発表した短文集です。一番古いものでは1957年のものが多数含まれており、80年代以降のものも50年代もしくは、もっと昔を振り返ったものが中心です。中に描かれるのは、メディアで毎日たれ流される関西芸人のデフォルメされた大阪の世界とは異なり、もはや今は存在しない大阪でした。それはいわゆる船場の世界なのです。この船場の特異な言葉、生活習慣(妻妾同居、衣替えや正月の煮しめ)、人間関係、仕事のやり方やお金の使い方が郷愁をもって懐古されていきます。そうこの作品集は失われたものへの無意識のレクイエムとなっています。おそらく50年代の後半で、「船場」の喪失はかなりの現実感を持って著者に認識されていたようです。この失われるものへの愛しさこそが、著者の執筆活動の端緒を切り開く要因だったのかもしれません。初期の作品はこの船場を舞台したものがほとんどだったにも関わらず、60年代に入ると「白い巨塔」や「華麗なる一族」という関西を舞台とはしながらも、船場とは別種の広がりと特徴を持った題材を描かざるを得なかったという事実は、振り返ってみると意味深なものです。その後の「不毛地帯」や「山河燃ゆ(二つの祖国?」という作品はもはや大阪を舞台としてはいません。おそらく70年代に入り、この船場という文化が大衆にとってリアリティを決定的に失ったという事実の反映なのです。私は、「不毛地帯」以後の作品は未読です。洗練された文化というオブラートにつつまれない生の「金銭欲」の描写は、たしかに著者の言う「植林小説」の素材としてはベストではあったのかもしれません。しかし、時事的な「覗き趣味」の満足以外にはその価値は限定的て時代拘束的なものです。これは悲しい光景です。著者の作家としての軌跡が示すように人間は変わらないでは生きていけないのです。しかし、滅び行くものへの郷愁を思い起こすものなんて現代にはあるのでしょうか。

大阪づくし私の産声山崎豊子自作を語る2 (山崎豊子自作を語る 2) (詳細)

冥途―内田百けん集成〈3〉 ちくま文庫

・「馬鹿野郎
 百間の本は昔から読んでいて、ちくまで皆さんにもっと読んでもらえると思って楽しみにしてました。ただ、刊行されると最初は12巻の予定だったのが売れ出してから24巻になり、商業主義がイヤダと思いました。それだけならまだしも、最終巻に、「お詫び」として前期と後期に重複させてしまった作品が二つもあることには筑摩書房の編集者たちに怒りさえ感じました。 刊行する以上はしっかりと全24巻出すと初めから決めておいて、計画を練ってから刊行するのが編集者の仕事ではないのでしょうか。百間の名文がただの商業上の喰いものにされていることは「謹んでお詫び申しあげ」られても許されることではありません。 そういった意味で筑摩書房の編集者たちに対して仕事しろ「馬鹿野郎」と苦苦しく思いました。編集者たちは「お詫び」に辞職して貰いたいと思ってます。

・「懐かしく、ちょっと可笑しい夢の世界
 先に「百鬼園随筆」を読んでいたので、へそ曲がりの百鬼園先生が、今度はどんなへその曲がった小説を書いたのだろうと思っていたら、予想が外れた。 夢の世界なのである。本の最後の付けられた芥川龍之介の評によると、「冥途」をはじめとする数編は、漱石の「夢十夜」のように夢の形式をとった小説ではなく、見た夢そのままを書いたものであるという。それが本当なら、やはり文豪の見る夢というのは、私のような一般人とは格が違うのか、とてつもなく細かい。夕日が染める空の色だとか、葦の原を渡る風の音だとか、微かな光の変化まで、夢それ自体が一編の詩となっている。 しかしナンセンスで不思議な世界であるから、「百鬼園随筆」を読んで勝手に形作っていたけれど、このような精神世界を有していたことにとても驚いた。 そうやって面食らったまま読み進めていったからか、よく作品を味わえなった感があり、また、こういう手の訳のわからない話はあまり好きではないのだけれど、しばらく読んでから少し前のページに戻ってみると、何かしらとても懐かしいような気持ちがするので、しばらく間をおいて、再読するのもいいかもしれない。

・「訳のわからない怖さ
この本を形成するのは訳のわからない怖さだろう。この怖さはむしろ大人が感じるものではなく、子供の感じるものではないだろうか?子供の頃、夕暮れ時の帰り道に感じたあの怖さのような…

・「百閒小説集
 幻想的な雰囲気と、一種独特の浮遊感に満ちた内田百閒の小説33篇を集めたのがこの小説集『冥土』です。

 たくさんある小説の中でも、個人的な一番のお勧めは『件(くだん)』でしょうか。数ページのものすごく短い小説なので、あんまり書くとネタばれ(まぁ、ネタといえるものも特に無い小説なのですが)になってしまうのであまりかけませんが、「件」というのは顔が人間で体が牛という妖怪(?)のような化物のことで、主人公があるとき突然気付いたらこの件になっていたというところから始まる話です。ただこれだけ書くと、何となくカフカの『変身』のような雰囲気もありますが内容は全く違います。詳しくは実際に読んでみてください。これまで味わったことの無い奇妙な雰囲気を味わえるはずです。

 『件』のほかにも、表題作になっている『冥土』や、名作の誉れ高い『旅順入城式』など百閒の小説世界をじっくりと楽しめる一冊、お勧めです!!

・「夢がテーマ、というか百閒先生が見た夢の話。
特によかったのは「冥途」。私も亡き祖父の夢を見て泣きながら起きたことが何度かあるので主人公の気持ちはよくわかる。気がする。

他に「花火」「件」「豹」は特にリアルな訳のわからなさがあって怖かった。不思議という言葉だけでは済まされない奇妙にリアルな感じ。夢なのに。あとがきに「ハッキリしないが夢の法則のようなものに忠実らしく思われる」よいうようなことが書いてあったがまさしく同感。芥川龍之介による評が載っているのもよかった。

冥途―内田百けん集成〈3〉 ちくま文庫 (詳細)

【新版】 雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り (朝日選書(777))

・「豊臣秀吉の記述が面白かった
準管区長コエリョと豊臣秀吉の奴隷売買に関するやり取りが非常に興味深かったです。個人的には豊臣秀吉は狡猾で、利益のためには多少の事には目をつぶる性格のような印象があったのですが、日本人奴隷売買に激昂して貿易に制限をかけようとした豊臣秀吉の姿勢を見て、豊臣秀吉のイメージが一新されました。

・「歴史小説や大河ドラマでは描かれない庶民の戦国
戦国時代というと、どうしても武将にばかり目が向いてしまい、上からの目線でしか見えていなかったという事に気付かされる。本書はそういった「英雄たちの戦場」ではなく、普段はスポットライトが当たらない雑兵・庶民の戦国時代はどうだったのか、という事を様々な資料に基づき解明しようとしている。そこには、今まで薄々知ってはいたが深く考えようとはしなかった、リアルな戦国の姿が浮かび上がってくる。公然と行われる略奪・略取・人身売買。それらを生業としていた多くの無頼漢達。そしてそこから逃れようとする、しかし、ただ弱いだけではなかった強かな村人達。秀吉の天下統一により、戦場という稼ぎの場を失った人々は、為政者の意に反しても逞しく生き続けようとする。下からの目線で見ようとするあまり、武将の行動に対する解釈に強引な部分がある気もするが、それも新鮮な視点だった。躍動する戦国庶民の強大なエネルギーや、血と汗と泥にまみれたリアルな戦国時代が感じられ、大変興味深かった。補注や索引も充実していて分かりやすい。

・「一般人に焦点をあてた中世〜近世初頭日本論考の代表的タイトル
網野善彦による民衆史などとはまた違い、一般人のうち土地に属するもの(農民層)及び属していたが離れたもの(土地が養いきれない分量の人間・離農して非正規雇用の準軍人となったもの)をメインにいわゆる戦国期の村(ほぼイコール戦場)、城、人の流れを論考。今ではかなり定着した感のある「丸腰でない一般ピープル」史観が一般的にはまだそれほどメジャーでなかった頃の発表だったと思うが、現在では補訂新版となんだか定番になった感じ。 4部構成で、1:各地・各時期の侵略に伴う物の略奪や一般人の拉致売買・身代金取引などの戦場の現実、2:略奪・拉致の実行者層の具体像、3:戦場(ほぼイコール村、一般人の居住空間)での地元住民の姿。避難と帰還、防災保険(訴訟・免税、大名との交渉など)等々。4:戦国の終焉に伴う2の層の行方。土木建築系雇用、海外流出、都市の日雇い層などへ。(個人的には現代の非正規雇用と重なるイメージが・・)という流れ。あくまで史学の見地なので、史料の提示とそれに基づく持論展開という形式となり、当然ながら娯楽色はありません。入門者にはもう少しライトな新書・文庫やムック系のものの方がよいと思います。タイトルは「戦場」ですが結果的にかなりテーマが拡散してしまっている点、またこれも当然というか論文の性質上やむをえないのですが意図的な飛躍と史料の孫引きで星ひとつ分。良書であることは間違いないので、一次史料まで興味の範囲にある方にはお薦めします。土地が養いきれない人口と戦争・産業と雇用の構造というテーマはさらに古い時代から現代まで、日本のみならずあらゆる地域と時代に共通のようです。

・「批判的知性の試金石
「こんど、家来の角右衛門が日本へ帰るので、テルマとカクセイをお土産に届けさせた。無事に着いただろうか。そのうちコカクセイ一人は娘にやってほ しい。私も戦場で十一歳の子どもを手に入れ(求め)て召し使っているが、ひどい病気もちで困っている。いずれ娘にもテルマを一人、手に入れ(求め)て贈ろう。また拾左衛門尉殿にも下女にでもできそうな子を一人、手に入れ(取り)て、次のお土産にしよう。ただ、いまは加徳カドクという島の暮らしで、食べるのがやっとだから、そのうち手の者をやって、手に入れたら(取り候わば)送りたい・・・。」本書、pp.62-63 これは、外国出張しているお父さんから家を守るお母さんへの手紙の一節である。時は今から400年前、慶長二年(1597)。差出人は、島津家家来で小身の武士、大嶋忠泰。受取人は、国元の妻(内方・宿本)。差出地は、再侵略真っただ中の朝鮮半島の戦場。 この藤木の書は衝撃的な本である。旧版は1995年に出ており、その後新たに確認できた史料を付け加えた新版がこれだ。上記は、朝鮮半島における秀吉軍の奴隷狩り戦争に関するものだが、驚くべきは、これが、日本国内の戦場における普遍的な習俗の国外持ち出しであること。 つまり、私にもあなたにもどこかの歴史的段階で、戦場の戦利品としての奴隷の血が流れている可能性もあるわけだ。美醜善悪を含め、己の歴史的来歴を知るために必ず読むべきである。この事実を冷静に受け止めることができるかどうかが、その者の批判的知性の有無をあぶり出すであろう試金石の書。

・「瞠目の一書
村に対する人や物の略奪(乱妨)が日常化していた戦国時代の戦場。そして略奪こそを目当てに戦いに加わった下級兵士たち。現在では既に通説化しているかもしれない戦国時代の現実であるが、門外漢の目には非常に新鮮であった。時代劇で描かれる華やかな武将たちと同時に存在した、戦争の現実がここにある。更に驚かされたのが、東南アジアに売買された日本人奴隷(戦争での略奪被害者)と、同じく東南アジアで繰り広げられた西欧諸国の植民地戦争に投入されたという日本人傭兵の存在。きちんとした研究があるからこそ明らかになるこうした現実に、歴史の幅広さと奥深さを痛感させられる。新版ということで、旧版の訂正や新たなエピソード挿入等があるそう。価格も手ごろなので戦国史の好きな方には是非薦めたい。

【新版】 雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り (朝日選書(777)) (詳細)

パリ左岸のピアノ工房 (新潮クレスト・ブックス)

・「暖かく優しいまなざし。
子供の頃に楽器を習っていたけれど、大人になる頃には弾かなくなってしまう人は多いと思う。そして、なにかの機会にふと「あぁ、また弾きたいな」と思ったりする。私もそんな1人。そういう人には打ってつけの作品だと思う。無論、そうじゃなくても面白い。ピアノの楽器としての構造や材質、ピアノ製造会社といった細かいお話。ピアノの楽曲。ピアノを教わる話。ピアノと関わる人々のこぼれ話。ピアノ工房で働く人々を通じて描かれる”フランス人って”な部分。筆者のフランスへの暖かい眼差しや、ユーモアを交えた語り口によって”薀蓄”的部分もすんなり入って来る。「ほー」と感心したり、頷いたり。なかなかに面白くて濃いノンフィクション・エッセイでした。

・「ピアノ:音楽に必要なこと:50過ぎてからでも作家になる方法
ピアノを習う人が少なくなってきた。 それに比べて、電子ピアノ、電子オルガン、キーボードは大衆的になっている。 キーボードでも十分音楽を演奏することはできる。 ピアノを習ってから、キーボードを扱うのでもよいのではないか。 グランドピアノの持つ音楽性を理解するには、小説として読める本書はそのきっかけにならないだろうか。 ピアノなんてもう時代遅れさという人には、この本の良さがわからないかもしれない。 ピアノのことを一度も考えたことがない人に、ぜひ読んでもらいたい本である。 著者は50歳を過ぎてから作家になったそうである。 そういう成熟した視点が、これからのピアノの進むべき道を示しているような気がする。 日本のピアノメーカの方々にも、読んでもらい、もう一度ピアノの良さを説明する方法を考えて欲しいかもしれない。

・「好きな"対象"への、美しく抒情的なその語り口に酔わされる。
素敵な1冊である。その店はパリの片隅の狭い通りに佇んでいた。閑静な街並に場違いな感もある「デフォルジュ・ピアノ」との名を持つ小さなピアノショップに、アメリカ人の筆者は惹きつけられてしまう。「パリ左岸のピアノ工房」は、筆者が感じる心情そのままの不思議で謎めいた雰囲気で始まる。スタインウェイ、べヒシュタイン、ベーゼンドルファー、、、。ピアノという楽器が持つ気品と繊細さ、様々な国々から流れてきたピアノたちが集められたパリの裏通りのアトリエ、ピアノへの愛情と蘊蓄が溢れんばかりの調律師、筆者自身のピアノとの関わりと思い出、それらを美しく抒情的に綴る語り口に酔わされる。"心躍る対象"を追い続ける少年のようなピュアな筆者の気持ち、流行る気持ちを抑え切れない心のときめき、まるで恋をするような魅惑の衝動が胸に迫ってくるのだ。そして、大きな魂を持つ楽器とそれに更なる生命を吹き込む男の絆、幾多の数奇な運命を経て出合う彼とピアノたち、実にドラマチックだ。良く出来た神話的物語と思いきや、実はノンフィクションというのが凄い。ピアノ好き、パリ好きはもちろん、それらに興味がなくても、愛用品であれ、蒐集品であれ、自分の中で"愛"を以ってこだわる"何か"を持つ方なら、きっと共感出来るはずだ。

・「日本からは見えないピアノをめぐるドラマが見えます
パリ市内の「セーヌ川左岸」といわれる地域にあるピアノの修理工房と、そこに出入りするようになったアメリカ人の著者のお付き合いを描いた作品です。

「ピアノもの」といえば演奏家や作曲家がクローズアップされるものですが、この作品はそういったアーティストを描くのではなく、それを支えるピアノたちとピアノをこよなく愛する職人さん、著者を含むその周りの人々とのかかわりを描きます。ちょっと昔の「一見さんお断り」的なヨーロッパに足を踏み入れて戸惑うアメリカ人の著者を通した目が新鮮さ、温かさを等分に描いています。登場するピアノたちは現代のストロングなフルコンサート用のものではなく、ひと昔もふた昔もまえの瀟洒なものばかり。柔らかで軽やかな音色が聞こえてきそうです。日本からは見えそうで見えない、西洋音楽を支えるひとたちの愛情もあふれるごとく伝わってきます。

欲張りをいえば、タイトルは「パリ左岸」じゃなくて「セーヌ左岸」のほうがしっくりくるんじゃないかと…でも、仏語になじみのあるかたばかりが手に取るわけではないので、地名を入れた邦題になるのはいたしかたないことなのでしょう。よってこの件は不問としてこの評価とします。

・「ピアノ:音楽に必要なこと:50過ぎてからでも作家になる方法
ピアノを習う人が少なくなってきた。それに比べて、電子ピアノ、電子オルガン、キーボードは大衆的になっている。キーボードでも十分音楽を演奏することはできる。ピアノを習ってから、キーボードを扱うのでもよいのではないか。グランドピアノの持つ音楽性を理解するには、小説として読める本書はそのきっかけにならないだろうか。ピアノなんてもう時代遅れさという人には、この本の良さがわからないかもしれない。ピアノのことを一度も考えたことがない人に、ぜひ読んでもらいたい本である。著者は50歳を過ぎてから作家になったそうである。そういう成熟した視点が、これからのピアノの進むべき道を示しているような気がする。日本のピアノメーカの方々にも、読んでもらい、もう一度ピアノの良さを説明する方法を考えて欲しいかもしれない。

パリ左岸のピアノ工房 (新潮クレスト・ブックス) (詳細)

こころの旅 (神谷美恵子コレクション)

・「人生とはこころの旅である
この本は、人間が生まれてから死を迎えるまでの「こころの旅」に温かなまなざしを向けて分析されたものである。初めに、こう述べられている。「人の生にこんなにも重味が感ぜられるのはその生命にこころなるものがあまりにも発達してそなわってしまったからなのであろう。人生とは生きる本人にとって何よりもまずこころの旅なのである。」

書かれた当時との時代背景こそ違っても、人間の本質はそう変わらない。全編、精神科医として、ハンセン病患者と真摯に向き合ってきた神谷先生の「愛」があふれている。参考文献、引用を多用しながら、論文のように読みにくさがないのはそのためだ。ただし、読み流すのではなく、一語一句噛み締めて読まなければならない。噛み締めて読むことによって、神谷先生の温かさ、人間の素晴らしさを実感することができる。

・「子育ての前に読んでおきたかった
人が人として生まれその生涯を閉じるまでの軌跡が、心にすとんと落ちるような分かりやすさで書かれています。その時々で大切な発達課題があるとしながらも、やり残した課題は後になって違う形で補うことができると明言されています。これは、子供を育ててゆく上でも、精神科医として臨床を行ってゆくうえでも、そして自分自身がこれから残りの人生を送る上でも、人や自分自身の可能性を信じるという意味でとても大切なことと思います

・「人生で迷ったときにめくる本
初めてこの本に出会ったのは、大学生のときでした。恋愛はもちろん、将来についても悩んでいた時期でした。本書は人生の曲がり角に置かれた案内所のような存在です。これからもずっとずっと愛読していきたい本であり、人生の指南書でもあります。

・「そのあと誰に出会うのか?
季節に四季があるように

人生にも四季がありますよね?

「青春」「朱夏」「白秋」「玄冬」

青春は人が初めて失う季節です。

失ったその悲しさ・寂しさが初めてのことなので、人はいつまでも青春という過去を振り返ってしまいます。

でも年相応に成長するということは、四季を愛で慈しむ心をもつことに通じる。

四季折々それぞれの良さがあるのと同様に、人生の四季にも折々の味わいがあるはずです。

今この時、この瞬間の中に生きる喜び生命の主人公としての自分を自覚し感謝する・・

誰しも心に抱いているはずの遠い記憶を思い出させてくれる。そんな本だとおもいました。

今まで気づかなかった「ほんとうの自分」に出会える本なのかもしれません。

・「今の自分の位置
神谷美恵子コレクションの3冊め。これは雑誌に連載したものを元に1冊の本にまとめなおしたもの。人間の心の発達や変化を胎児の頃から始めて、一生の終わりまでたどっている。時代のずれを感じる個所も少々あるけれど、本質的には今の時代も通用することばかりだ。いつもながら、冷静で客観的な記述の背後に著者の暖かいまなざしを感じる。そばにこの人がいれば、思わず歩み寄って、「あのぉ、わたしは最近、こんな風に思うんですけど...」と話しかけてしまいそうだ。

子供がいる人は子供時代の発達についての記述を面白く読むだろう。わたしの場合は子育てをしていないので、やはり今の自分の段階に興味がある。この本の分類でいえば「はたらきざかり」。老いや死が視野に入ってきて「予期不安」におそわれることもあるという時期。最近のわたしの問題はこの不安なのかもしれない。

「こういう決心をするとき人のこころには「もうよけいなことをしている暇はない。なるべく自分にとって本質的なことをやろう」という思いが満ちあふれていることであろう。(p139)」

次の時期の「人生の秋」つまり「老い」の時期にはうまくいけば、青春時代の「第2のコペルニクス的転回」に次いで「第3のコペルニクス的転回」が起きて、自分の一生の時間は宇宙的時間に属していたと知るようになる。自分が長生きして、そういうことが起きればいいなぁと思う。そう願えば起きるかもしれない。今はあまり「予期不安」にふりまわされず、のんびり構えていようと思った。

「そのとき人間はどれだけの仕事を果たしたか、ということよりも、おかれたところに素直に存在する「ありかた」のほうが重要性を帯びてくるだろう。(p163)」

こころの旅 (神谷美恵子コレクション) (詳細)

須賀敦子全集 第2巻 (河出文庫)

・「全集を2から読み始めましたが最高にいいですね。
同じ会社の女性が面白いですよと置いていったのがきっかけだがどんどん引き込まれてしまった。何だか繊細な文章にびりびりしながら読んでいるところです。久しぶりに全部読みたいと思う全集が現れました。うれしいです。今のところもの悲しくてなんだか今のおいらにぴったりです。時間があればページを繰りながら楽しんでいます。こんな女性がいるんですね。注文した全集の1も早く読みたい。

須賀敦子全集 第2巻 (河出文庫) (詳細)
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