他諺の空似―ことわざ人類学 (光文社文庫) (詳細)
米原 万里(著)
「やはりジョークの切れがよい」「諺で世相を斬る」「米原万里流「多事争論」:小噺+各国の諺+政治批評」「痛快」
バカの壁 (新潮新書) (詳細)
養老 孟司(著)
「難しそうに書いたものをありがたがるのはもう止そう」「部分部分に面白さ」「養老孟司流”行動論”」「いまさらですが」「目新しい視点とすっきりした読後感がある」
「ライトな養老先生エッセイ」「心に響く言葉、当たり前だが大切なこと」「やたら読み易い」
「鈍感力という言葉は好きです」「鈍感力の体得方法を書いてほしかった。」「タイトル先行で売れた本」「根底に共通する「鈍感」ということを共通項にした本。」「100万部突破なんて信じられない」
かけがえのないもの (新潮文庫) (詳細)
養老 孟司(著)
「やはり、養老孟司は読める。」「初出の不明の講演集」「養老孟司入門書」「頭だけではなく、体も使い物事を身につけていくことの大切さを学ぶ」
古寺巡礼 (岩波文庫) (詳細)
和辻 哲郎(著)
「若き日の和辻の感性」「名著、名文、名建築…」「中宮寺観音の横顔」「奈良と共にある日々」「法隆寺へ」
本当のことだから―“いつかのいい日のため”の宇宙の秘密 (詳細)
山元 加津子(著)
「生の大切さをしみじみ感じる一冊。」「著者の温かい人柄と子供たちの心のつながりに感謝です」「宇宙の真理を友情で繋げ、さりげなく語る」「出会うべくして出会う」「宇宙の秘密がわかる!」
読まない力 (PHP新書) (詳細)
養老 孟司(著)
「生き甲斐を取り戻すすべ」「短編コラムで紡ぐものの見方・考え方」「当たり前のことを程よく行う」
人生の旅をゆく (幻冬舎文庫) (詳細)
よしもと ばなな(著)
「いい旅を続けていきたいです」
「人生のヒント」「温かい気持ちに」「男から見て「素敵な女性」の素敵な生きかた!」「行正さんのやさしさに癒されます」「感性の素晴らしさ」
・「やはりジョークの切れがよい」
2003〜6年にどこかの月刊誌に時々穴をあけながら連載されていたエッセイのようです(少なくとも1年に5〜10編。著者の「満身創痍」という言葉の使い方から類推。訃報を聞いた時はびっくりしたけれど)。人間が作る「諺」のパターンには、欲や愛憎が絡んだものは世界共通でありながら、「捨てる神あれば拾う神あり」といったものは日本独特ださうです。そんな諺をネタにした切れのよい小咄(ジョーク:多くはシモネッタ)のあと、同じような意味を持つ世界の諺を紹介し、オチをつけるというパターンの読みやすい本です。ただ著者の面白さは、通訳という職業を介して日本人と他の国の人とのギャップをうまく紹介するところにミソがあると感じているので、政治への批判は個人的にはやや不快でした。そう思いながら読んでいても、オチでは吹き出しそうになっていましたが。そうこう言っても読了してみれば、サブタイトル通り、ちゃんと人類学になっているような気がします。
・「諺で世相を斬る」
ことわざを網羅的に紹介する、腑抜けた本も多数あるが、本書は2003年から2006年の日米関係やロシアの政治を中心に、諺という刀でバッサバッサと政治や社会を切っていく。そしてフランス小咄のような「お色気」(がちょっと度が過ぎていることもあるが…)もあり、その筆力・見識・知識とウィットに圧倒される。 こうして米原さんが書き残して下さったおかげで、無意味な死にならずに浮かばれた「無名の人々」もいると思う。感謝したい。また、こうして生きている私たちが1999年からの激動の10年を振り返るとき時の、良き羅針盤になる本だと思う。 繰り返し読みたい名著だ。
・「米原万里流「多事争論」:小噺+各国の諺+政治批評」
小噺(こばなし)で始め、小噺に関連する日本&外国の諺を列挙し(太文字で印刷)、最後に強烈な政治批評でしめる、という感じで書かれたエッセイ集です。(何本か例外はありますが)身近な諺が如何に普遍的なものなのか、卑近な小噺の世界をズーム・アウトすると如何に国際情勢についても言い当てられるものなのか、について考えさせられました。そして、本書は米原流「多事争論」なんだな、とも思いました。「自由の気風は唯(ただ)多事争論の間に在りて存するものと知る可し」(→「自由の気風は必ず反対意見が自由に発表され、少数意見の権利が保証されるところにのみ存在する」)という福沢諭吉の言葉を(自らの死期を覚悟して)体現しようとされたのではないか、と思います。本書の内容は2003〜2006年の国内・国際事情が色濃く反映されており、当時の権力者達にかなり毒づいています。(そこで本書の好き嫌いが分かれるかもしれません...) 現在(2009年)も米原さんがご存命なら、どの様に書き続けられていたか(or 書かれたモノを振り返ったか)、興味があるところですが、そういうエスプリの効いた文章がもう読めないのは残念です。
・「痛快」
日本を覆う白か黒かの劣化したマスコミの論調とそれと裏腹の小児病とでもいうべき病に人々が罹患しているのではないか。と思いたくなる騒がしく、しかし空虚な状況の中で、遺作とはなったがこのような本が残されたことを感謝したい。
.タバコについて。昭和30年代、東京の肺がん発症率はロンドンの百分の一であった。それが、急速に増えたのは何故か。喫煙人口が増えたわけではない。増えたのは車である。しかし、車には誰も文句は言えない。
.詐欺が流行っているが、詐欺師はカモにすべき相手の世俗的欲望を適当に刺激する。(欲深いが何回も引っ掛かるので納得)最大の詐欺師は、元総理大臣であろう。あまりに大きな詐欺であったので解りにくかったし、人々は騙された事を認めたくなかったが、アメリカの惨状を前に見たくもないものを見ざるをえなくなった。(また、騙されるかも)
.世界最強の軍事大国アメリカの「国際テロリズム」という物語。(蟻が国際的脅威となるものか)これについては、エマニュエル・トッドの分析が紹介されている。端的に言えば、この「テロとの戦い」という虚構の正体は、アメリカの脆弱な経済なのだ。幽霊の正体見たり枯れ尾花。
他に多数あり。期待されたい。大人の人間が一人不在となったのは寂しいことだ。継ぐのは佐藤優か。
・「難しそうに書いたものをありがたがるのはもう止そう」
書いてあることが非論理的、独りよがり。部分的には同意できるところが多々あるが、ありがたがって読むほどとは思えない。ベストセラーになったのは刺激的なタイトルゆえか、著者の経歴のゆえか、非常に疑問。難しそうに書いたものをありがたがるのはもう止そう。
・「部分部分に面白さ」
「バカの壁」とは,人間は自分の脳に入ることしか理解できず,自分が知りたくないことについては自主的に情報を遮断してしまうことである。「バカの壁」についての考察はそれほどなく,脳,学問,意識,身体,共同体,社会のことなどについての著者の考えが述べられている。新書本なのでそこまで根拠が明確なわけではない。
なぜこれほどまでに売れたかはわからないが,やはり長年,学者をやってきた人なので,学問や学生に対する考察は面白い。
例えば,人間は日に日に変化するが,情報は不変であると定義し,「学問というものは,生きているもの,万物流転するものをいかに情報という変わらないものに換えるかという作業です。それが本当の学問です。そこの能力が,最近の学生は非常に弱い」(p164)。「(学問は)壁を一歩登って見晴らしをよくする,というのが動機じゃなくなってきた。知ることによって世界の見方が変わる,ということがわからなくなってきた。愛人とか競走馬を持つのがモチベーションになってしまっている」(p201)などである。
経済について書かれたところはやや生煮え。脳科学者だから仕方ないが。
・「養老孟司流”行動論”」
人間の脳は自分に都合の悪いこと、知りたくないこと、自分の行動に影響を及ぼさないことを自主的にシャットダウンする。男子医学生は出産のビデオを見て「知っている。」が「わからない。」しかし、女子医学生は「わかる。」911テロは「知っている。」が「わかっていない。」 この本は単に脳の機能や社会に対する批判をした本ではない。赤ん坊が脳から信号を出して手を動かす。それを目で見て脳が確認する。「こう念じれば、こう動く。」脳への入力、外部への出力。どちらも欠かしてはいけない。入力(情報の収集)ばかりでは「わからない。」それを元にして出力した結果(行動の結果)をフィード・バックした結果「わかる。」のであって、知識は使ってみて、その結果を体験しないと本当の意味で「わからない。」 行動あるいは経験の伴わない、一方通行の知識は一元論となり原理主義を生み出す。そして「自分と違う立場のことは見えなくなる。」 話題が次々と変わって難解ではあるが、他の著作も読んでみると主張は一貫している。こんな観点で、しかも「人がわかり合えない理由」を説明した、まさに『目から鱗』の行動論の本。4年前に最初に読んでから何度も読み返した。これがわかる人には必ず良い行動指針になると思う。
・「いまさらですが」
いまさらながら(笑)タイトルに惹かれたこととベストセラーなので読んでみました。投げかけとしての問題提起はすばらしいです。また現在の一元論を認識させ、二元論への提言といった流れは一般的にも言われることですが、それを身近でわかりやすく、かつ「バカの壁」というフレーズを使用したセンスもおもしろいと感じます。
ただ著者の得意分野(解剖学からの脳分析)に関しては、問題提起に対する答えとしては逆に深みがたりない気がします。また少なからず、論理展開が中途半端でおわっているような印象や深さに物足りなさを感じる部分もあります。
しかし軽く読める本ですし、費用対効果で考えれば一読をお薦めできます。
・「目新しい視点とすっきりした読後感がある」
本書は著者の話を編集者が文章に起こして再構成したものだ。したがって一貫性があまり感じられない面もあるが、逆に著者の思考がすぐに顔を出してくる気がする。 日本社会では「共通理解」を求められるにも関わらず、「個性を発揮しろ」という矛盾した指示が出るという話から、その結果派生したのが「マニュアル人間であり、それは実はどういう態度を表しているかという話は、非常に興味深かった。通常の捉え方から一段深いなと感じた。 また、ある宗教団体を盲信した若者を捉えた仕組みが何であったかや、生きる意味とはという古典的な話題まで、興味が尽きずにあっと言う間に終わる本だ。 法事で久しぶりにあった親戚のおじさんに説教されているような気分だが、爽快感がある読後感だ。
・「ライトな養老先生エッセイ」
ライトなエッセイです。あまり力が入っておらず、内容も平易に書かれているので、JALの機内誌に掲載されていたものらしいですが、気軽に読むことができます。ただ他の著作を読んでいればわかりますが主張にブレはありません。良い意味で同じことをおっしゃっている。 それはともかく、今のご時世は拝金・効率化などで普通の生活をしている人間というのは本当に窮屈で希望もなくまさに経済原理主義の元、抑圧されていると言っても過言ではないでしょう。先生のような学者は少なくとも経済には左右されない生活をされていたと思いますし実際そういう事を著作のなかでおっしゃっています。経済原理主義が幅を利かせ過ぎの日本のバランスを取り戻すためにもっと出版社・マスコミは学者・生活者の意見を世に出して、この日本を変えていって欲しいなと思う。
・「心に響く言葉、当たり前だが大切なこと」
この本の中から、「私の印象に残る10項目」を挙げてみたい。1 人はなぜ旅に出るのか(脳内にエンドルフィンが分泌、幸福感をもたらす)2 身体を動かすことが脳を育てる。(無意味なような遊びでもよい)3 脳のために必要不可欠なのは睡眠時間(生き物には活動と休息のリズムが大切)4 公職は普通なりにきっちり務める(のめりこむと、ついつい仕事を私物化する)5 自分の考えは使い慣れた言葉で(その方が人に分かってもらい易い)6 秩序を立てれば無秩序が待っている(石油文明の果てに温暖化)7 都市の秩序を支える田舎という存在が大切(都会人は年3か月田舎へ参勤交代を提案)8 論理は耳に由来する(音楽は、実は論理的なのだ)9 分かっていることを講義されてはたまらない(授業中の教室が僕の図書室だった)10 自分のことを広く伝えるには個性的より一般性が大事(独りよがりでどうする)
・「やたら読み易い」
「ワンショットエッセイ」というだけに、養老孟司さんにしては(?)大変読み易いものでした。
「嫌う人は嫌われる」「‘自分に合った仕事’などは幻想である」「勝った方が生き残るとは限らない」
などなど、簡潔かつ明瞭な言葉で綴られています。(実は『バカの壁』と同じやり方で書かれています)
読み終えることがもったいない…。
●鈍感力
・「鈍感力という言葉は好きです」
ついつい気を使って疲れる自分にとってはこの言葉は支えになりましたなんか逃げてる感も否めないですが…まあ、全てを参考せずちょいちょい鈍感で上手くやっていければ一番いいかもしれません本当に鈍感な人が読んだら恐ろしいですね鈍感には向いてない本です
・「鈍感力の体得方法を書いてほしかった。」
この本では、鈍感力を持つことが、如何に人間にプラスになるのかということが書いてある。今まで思いやり、気配りが上手(敏感力)が人と付き合う上で重要であると感じていた。この本を読むことによって、人と人との付き合い方への考え方を少し変えられた。対人関係において、自分から相手に向かうベクトルでは敏感力が重要であり、また相手から自分に向かうベクトルに対しては鈍感力が重要ではないかと感じた。
この本ではどのように鈍感力を身につけるかは全く書かれていなかった。
この本を読んで、自分は鈍感力のあるほうだなと感じる方には十分な本であるが、鈍感力がないと感じる方には物足りない本だと感じた。
・「タイトル先行で売れた本」
『愛の流刑地』という『失楽園』の二番煎じみたいなことを書いても、ケロっとしている渡辺淳一さん自身が実は‘鈍感力’を地で実践している人なのでしょう。きっと。
・「根底に共通する「鈍感」ということを共通項にした本。」
丈夫さ、強さ、抵抗力、母性愛、包容力…伝統的にはこれらの言葉で表わされてきたことを「鈍感さ」という観点から焼き直し、大雑把にいうと、人間のもつ「強さ」とは、「鈍感さ」に裏打ちされているということを語った本。
語られている内容は、明るく前向きに生きていくことの大切さを自律神経(副交感神経)の機能を高めることや、血液の循環の改善と結びつけており、その点では他の書と変わらないが、その根底として「鈍感さ」と結びつけ、それを「力」とあらわしたことが面白い。また、文体も読みやすい。
・「100万部突破なんて信じられない」
タイトルに『鈍感力』、『今を生き抜く新しい知恵』なんてありますが、皆さん、このタイトルに騙されてこの本を購入したのではとないですか。自分もそうです。情けないです。内容は、だれでもこの程度の内容は書けます。100万部突破なんて信じられません。
・「やはり、養老孟司は読める。」
一気に読める。引き込まれる。子供の教育に考えさせられるものはもちろんだが、自分の人生、生き方についても・・・考える時間を与えてくれる。
・「初出の不明の講演集」
養老孟司先生の講演集を白日社のまとめたものとあとがきに有りますが、初出一覧が有りません。9章各章が一つ一つの講演のようですが、おっしゃっていることが同じようなことの繰り返しで、それこそ講演会を端から聴きに行っているようです。こういう本は有りなのか?お忙しい方なので編集者がまとめてくれたものを校正して、はい、オーケーです。という感じは、本(著作)ではなく、週刊誌的ですね。そういえば、「バカの壁」も口述筆記したものだったようで、何処かで御自分でおっしゃっていらしたように、一所懸命書いたものは売れなくて、こんなものが売れると。多くの方に届けたいからこのような本を出されたのでしょう。それならいっそうのこと小林秀雄のCD講演集みたいな出し方は、如何でしょうか?高すぎて売れないかな?と思ったら「養老孟司が語る「わかる」ということ (新潮CD講演) (CD)」がなんと1260円で出ていた。
・「養老孟司入門書」
これまでに出版された数々の本で主張してきた考え方が1冊で簡潔にまとまっています。過去に養老さんの本を読んだことがある人は「また同じこと」言っていると思うことでしょう。この話はあの本で出てきたな、と回想しながら読むとおもしろいです。複数の本で同じ主張をしていると言うことは軸がぶれていないということにもなり、より説得力があります。
・「頭だけではなく、体も使い物事を身につけていくことの大切さを学ぶ」
養老先生のエッセー集を読むと、よく考えると当たり前なのだが何か盲点になってしまっていることを気付かされる。「かけがえのないもの」それは自然であり子供、そして自分の身体であるという。
エッセー始めに長嶋選手が大切な場面でホームランを打つが、長嶋選手が物理学にたけているとは思えないというお話しがあった。確かに理論で理解したものだけが体に身に付いている分ではなく、頭では理解していなくても体がそのことを覚えていてできるということがある。頭だけではなく、体も使い物事を身につけていくことの大切さを学んだ。
・「若き日の和辻の感性」
該博な知識に圧倒されてつい忘れてしまいがちになるが、これは和辻の20代の終わりに書き留められた印象記である。それを踏まえつつ読み進めていくと、確かにその筆の運びは若い。
それが、著者自身が「改版序」において自覚的に書いているような「情熱」であったり、「自由な想像力の飛翔」であったりすることは間違いない。しかし、それだけではない。
これだけ仏教美術に触れ、繊細な直感を自在に羽ばたかせながら、和辻がここでスルーしているもの。それは「死」である。
古都古寺を巡り、その成立の源にまで遡りながら、この本には死の影が極めて希薄である。その意味で、これは美術史・文化史の書でありつつも宗教の書とは為り得ていない。
だが、こうして奈良の地を巡ることができるほどには健康であったと思しき若き日の和辻であれば、それは当然の成り行きであったのかも知れぬ。ここで既に見ることのできる鋭い直感や自由な想像力をもって、和辻の生涯の思索はどこへ向かっていったのか。二体の観音像についての印象をもって閉じられる記述を読みつつ、評者はそのような方向への関心を抱くに至った。
・「名著、名文、名建築…」
世に名著といわれるものは数々あれど、間違いなく名著といっていい本だろう。これを紐解く度に、名著とは名文ゆえではないかとの思いを強くする。仏像、建築、回廊を著者とともに巡り歩き、イメージゆたかに流れる文章が心に染み入ってくる心地よさ…。これぞ読書の醍醐味といえよう。こんな名文が若干29歳の青年によって書かれたというのだから、本当に舌を巻く。和辻哲郎は仏像と建築をこよなく愛する“眼の人”だったが、美的印象を文章化する才能には脱帽するしかない。この点、ゲーテ以上といって過言ではないだろう。この本自体が世界に誇るべき文化遺産だといっていいのではないか。しかし時を経た今、止むを得ないことと思われるが、内容的には疑問な点が多々出てきている。特に法隆寺に関してはそのまま事実として受け入れるには問題がある。この点を補う良書として、87年の時を経て今年出版された『法隆寺の謎を解く』(武澤秀一著、ちくま新書)をお薦めしたい。著者は建築家で、『古寺巡礼』を引用しながら、最新の知見を踏まえ分かりやすく書いている。
・「中宮寺観音の横顔」
「あの肌の黒いつやは実に不思議である。」で始まる中宮寺観音像の描写。この著作に関しては、美学的哲学的にいろいろと難しい事はあるのでしょうが、私には個人的に忘れられない、これ以上ない最上の日本語の愛の表現が印象的です。「・・あのうっとりと閉じた眼に、しみじみと優しい愛の涙が、実際に光っているように見え、あのかすかに微笑んだ唇のあたりに、この瞬間にひらめいて出た愛の表情が実際に動いて感ぜられるのは・・あの頬の優しい美しさの、その頬に指先をつけた手のふるいつきたいような・・」と讃えられるひとつの仏像。
こんな風に青年は熱く黒い木で出来た仏像を崇拝するものなのでしょうか?このくだりを読んだ時、恋する若者の震える心、震える唇、震える指先を感じさせる名文と思いました。
・「奈良と共にある日々」
中学の頃に本書を読んで以来 奈良が好きになった。
和辻哲郎は哲学者であるわけだが 当時はそんなことも知らず 若き和辻の情熱のほとばしる本書を通じて ただ奈良に魅せられたということだと思う。30年以上たった今振り返って見ると 奈良の寺や仏像に惹かれる中学生というのも なんだか気色悪いような気もするが ここ30年間に 変わらず 奈良を愛する気持ちは変わらない。以来、亀井勝一郎、堀辰雄、志賀直哉、入江泰吉の書物を 身の回りにおいて 折に触れて 奈良を想う。時折は 本書を携えて 奈良を訪問する。和辻がその眼で眺めた 風物、寺、仏像を巡る。
・「法隆寺へ」
20代に和辻のこの本を読んで,感激。車を飛ばして法隆寺に行きました。和辻の文章は素晴らしいの一言です。単に寺社の評論ではなく,日本文化,日本人の考察になっており,和辻のたたみかける文章が,日本人の心を打つ。
・「生の大切さをしみじみ感じる一冊。」
この本ではたくさんの魅力的な子どもたちが登場します。 世間でいう、障害、を抱えた子どもたちなのですが 彼/彼女らの感受性や人間性はヒトのココロをあったかくするのよね。
そんな子供たちと接する著者。宇宙には大きな力が存在していて、 子どもたちはココロの声に耳を澄ますことで その大きな力とつながりあうことができる、と表現しています。
また、ココロ震わせる詩がたくさん紹介されています。 MS(多発性硬化症)という病気の雪絵ちゃんの言葉。
今日まで歩いてきたみち、 さっき歩いてたみち、 明日歩くみち、 今歩いてるみち、 これから歩くみち。 全部私が選んで決めて歩くみち。 間違いなく自分で選んで歩いてるみち。 だからこのみちでいいの。 このみちを歩きたいの。 私の選んでるみちは、いい方向に向かってる。 だから全て大丈夫。 このままいけば大丈夫。 全て大丈夫。
胸が熱くなる一冊。
・「著者の温かい人柄と子供たちの心のつながりに感謝です」
私は山元さんの本を初めて読みました。きっかけは何気なく見つけ、気になったので読みました。この本で山元さんのとても温かなお人柄が感じられ、私まで温かくなれた気がします。
一番印象的だったフレーズは、雪絵ちゃんという女の子が言った「だって私の人生なんだよ。 だれかが、だれかの人生にどうして、責任なんてもてる? でも、自分の人生に、自分は責任をもてると思う。 だって、自分で決めたならがんばれるし、 自分で決めたなら、だれのことも責めずに生きていける。 私、だれのことも責めたくないもの」というフレーズです。
MSといわれる難病になりながらMSという病気に不平不満愚痴泣き言を言わずにMSを愛し、そんな自分を愛し、自分で人生を決めていく本当に凄いと思いました。
どんな人の人生にも何か意味があり、生きていく意味があることを改めて教えていただきました。
ありがとうございます。
・「宇宙の真理を友情で繋げ、さりげなく語る」
身体や心にある不都合を前向きに受け容れた時、人生に起こる全てに感謝でき喜びに満ちあふれる。友人雪絵チャンとの約束を果たそうとする山元さんが、知らず知らずのうちに宇宙の真理に導かれ、我々に本当の生き方を呼びさませてくれます。障害は、心の鍵のようなものって気がしてきます。目に見えるものだけじゃなく、みえないものに価値があり、心理があることを知らせてくれます。素直な生き方をお探しの方にお勧めです。
・「出会うべくして出会う」
「誰もが生まれてきた理由がある」「つらくて悲しいと思うことも含めて偶然というものは無く、起こるべくして起こり、出会うべくして出会う」私にはまだ、そのような言葉をどのように理解して良いのかよくわからないけれど、この世の中というものは不思議で満ち溢れていて、そのうちのごく一部を自分の慣れ親しんだ方法で見ているだけなんでしょうね…
・「宇宙の秘密がわかる!」
養護学校の先生が書いた本だから、きっと生徒さん達の日常を暖かい目で書いた本だろうと思っていたら、想像以上にすばらしい本に出会えてうれしかった。自分でも不思議だなって思ってたことが、自閉症児を通じてこういう能力が人間にはあるのだということが解き明かされた気がする。なんだか身障者の方たちを見る自分の気の毒という感情が消えて、すごい人達、特別な人達なんだと云う気持ちになってしまった。すべてが宇宙につながっているって思えるようになった
・「生き甲斐を取り戻すすべ」
月刊誌に6年間に渉って掲載された時評集。 10年一昔と言うが、この時評に収められた事件はここ7年くらいの間に起きたものばかりだが、随分昔の出来事のように感じられる。ホリエモンや鈴木宗男が世間を騒がせた事件は、まだ10年経っていないのだ。 タイトルの意味は、要するに先読みするな、というほどの事だそうだが、逆に言えば先は読めないほうが良いとも言える。養老氏は言う、「未来が見えることは、本当にいいことか。(中略)一寸先は闇。それが怖いのは当然だが、怖くない人生は面白い人生か。自殺が増えるのは、これと関係ないだろうか」。人生先が見えたら生き甲斐なんてなくなりゃしないか、と言うわけだ。 ところが、みんな先が読めることしかしない社会が現代の『都市化社会』だ。それを諷して氏は、「ああすれば、こうなる」社会と呼ぶ。一方、その対極にあるのが、自然である。自然は読めない、人間の思い通りにならない、ああしても、こうならない。そして、我々に最も身近な自然とは、『子供』だと言う。確かに、これだけ少子化が進むのも無理もない話だと、納得する。 考えてみれば、子供は何であんなに生き生きとしているのか。単に年齢的な若さだけではあるまい。先が見えないからこそではなかろうか。先が見えないからこそ、不安もあるがわくわくもしているのではないか?それを思えば、我々大人たちに生き甲斐を取り戻す道も、おのずと明らかとなろう(H21.6.13)。
・「短編コラムで紡ぐものの見方・考え方」
氏が2002年から2008年までの間に雑誌に寄せた時評集。私は氏のベストセラー「バカの壁」すら読んでいないのだが、自分に都合の悪いことをなるべく考えたくない人は大勢いて、政治家、メディアなどある意図を持った特定のひとに世の中がミスリードされていくことは恐いことだという氏の考えに触れることができた。・政治家の失言からはそのことを本気で考えていないことがわかるが、同時に「発言は自由なほうがその人の本音がわかって助かる。・科学にはお金が絡んだ時点でそれは事業であり、科学ではなくなる。など。
・「当たり前のことを程よく行う」
本書は、養老孟司の時評集です。
現代は意識優先で、人生は意識のみになってしまったと危惧する一方で、先々への不安を具体的に考えない現在に対して、いろいろな角度から警鐘を鳴らしています。「一段だけでもいい。先を考えておくれ」と。
ただ、タイトルの通り、考えすぎる・読みすぎるのも困りもの。考えることを、適度に行う。当たり前のことを、程よく行うことの大切さに気付きます。
また、「自分の未来と国家や世界の未来、その中間に、もう少し具体的な何かが欠けている」との指摘にドキリ。漠然とした不安を見事に見抜かれています。
様々な考えを巡らせるためにも情報をただ眺める時間を減らしたほうが良いのかな、という気にさせられます。時折、時評にも、テレビも新聞も見ずに過ごした夏休みや旅行の記述が見られますから。
・「いい旅を続けていきたいです」
よしもとさんの本はほとんど読んだことがないのです。書店でふっと目に留まって買ったのでした。外国へ行ったことの文章は、私があまりにも知らなくて感覚が伴わないためか、共感するところが少ないのですが、子ども、植物や生き物、身の回りの自然の移り変わりについて書かれているのには、心をとても動かされました。
ものを書く人は、皆それぞれの哲学を持っていると思います。なかにはその哲学を読み手に強引に押し付けてくる書き手もいますが、よしもとさんはそんな感じがしませんでした。このことについてもう少し読みたかったといった辺りで筆を止めているせいか、読後がすがすがしい印象を受けました。よしもとさんのほかのエッセイも読みたいと思っています。
まさに人生は旅…いい旅をしていきたいです。
・「人生のヒント」
疲れていたときに何か軽い本を読みたいなぁと思って手に取りました。 作者が自分の生活を通じて感じたこと、気づいたことなどが書いてありますが、読む私たちも人生のヒントがもらえるような、そんな良書だと思います。自分の生活を振り返り、色々考えさせられました。私にとっては思ったほど軽くない本でした。泣けて笑えて、元気が出ます!
・「温かい気持ちに」
読み進めて行く内に涙が溢れます。
生きること、死ぬこと、生活すること、考えること、そして愛すること。
大切なものが全部詰まった、読むと温かい気持ちで、日々を大切に過ごそうと思える本です。やさしさグルグルの名の通りです。
・「男から見て「素敵な女性」の素敵な生きかた!」
僕は行正さんの料理の本を見て「素敵!」と思い、この本にも出逢いました。 行正り香さんの料理本を読んだ方にはもちろん、そうで無い方にも薦めます。 自分なりの生き方や、目標とすることを探している女性、様々な義務感と毎日一生懸命戦っている女性にも、ぜひ一度目を通してほしいのです。
下手な人生論とかではありません。そもそも彼女自身、とっても有能で、苦労をしながらも、華々しいキャリアを経て今に至っている素敵な方です。 でも、この本や料理の本から見える行正さんの姿は、とっても自然体で、決して突っ張ってはいないのです。そして、その背景に、彼女を育んだしっかりしたご両親の姿も見えます。こういった基本的繋がりって大事ですよ‥。
生きていく上でほんとうに大事にしなければならないことや、人間として生きていく上で、大事にしたい事の強さを感じさせてくれます。
そういう大事なことを、難しくなくサラッと読ませてくれる、希有な一冊です。
・「行正さんのやさしさに癒されます」
このエッセイはいろいろなエピソードと共に、根底にある行正さんの考え方が書かれ、それが温かくて優しい。
雑然とした日々の中、読むと励まされ、ほっこりと癒されます。
ラーメン屋さんで虫が入っていた話は、すごく感動しました。子供に本当に必要なものは?あらためて考えさせられます。母について、兄弟姉妹について。自分の身内にも感謝したくなります。誰でも仕事が途中で嫌になる時期ってあるもんなんだぁ〜。となぜかホッとしたり。
借りて読む方法もありますが、私は手元においておきたくて購入しました。時々読み返しては、元気をもらえそうです。
・「感性の素晴らしさ」
行正さんの料理本を購入してから、大ファンになり、度々『まごころドットコム』のエッセイを読んでいましたが、連載が終了し、とても残念に思っていたのでこの本の発売を知って購入!やっぱりすてきです。一気に読んでしまいました。私は8ヶ月の赤ちゃんのママですが、どうやって子育てしていこうか、情報がいっぱいあふれている中、右往左往していましたが、この行正さんの本を読んで、そうだよね、人に感謝する気持ち、そして優しさ、お花や音楽・映画などをみて感動できる感性を育ててあげることが大切だなと思いました。美しいものを美しいと思えるその心。行正さんの人柄を感じます。いつも図書館で本を借りることが多いのですが、この本は購入しました。笑いあり涙ありの心温まるエッセイ。おすすめです。
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