孤高の人 (上巻) (新潮文庫) (詳細)
新田 次郎(著)
「一気読みできるおもしろさです。」「天才ゆえの悲劇である」「おもしろい…おもしろすぎる…」「冬読むのがよろしかろう」「家にいながらにして極寒の北アルプスで凍えることのできるほどのリアリティ」
孤高の人 (下巻) (新潮文庫) (詳細)
新田 次郎(著)
「孤高の人」「フィクション?ノンフィクション?」「悲しき最後」「登山者は読んでみて」
八甲田山死の彷徨 (新潮文庫) (詳細)
新田 次郎(著)
「陸軍の無謀な命令に従う男たちの冬山の戦いです。」「超迫力の描写」「遭難とは」「研究と訓練なのにこうなっちゃうの?」「一気に読める冒険もの」
劒岳―点の記 (文春文庫 (に1-34)) (詳細)
新田 次郎(著)
「さすが新田次郎作品!」「映画は原作を越えられなかった」「新田次郎氏の美徳に共感できた」「劔岳にはまってしまいました。。」「プロフェッショナル」
聖職の碑 (講談社文庫) (詳細)
新田 次郎(著)
「事実の伝える重み」「遭難場面が恐い。」「少年院の教官に必読書として薦めてきました」「犠牲になった少年たち」「熱い事実を表現する冷静なる小説」
アイガー北壁・気象遭難 (新潮文庫) (詳細)
新田 次郎(著)
「新田次郎は長編小説の方が面白い。」「物足りない」「アイガーで飲む麦酒」「☆ふたつ」「めったに売っていないが味のある一冊」
富士山頂 (文春文庫) (詳細)
新田 次郎(著)
「自身をモデルとした富士山レーダー建設物語」「富士の絶顛に挑む」「プロジェクトXその後」「プロジェクトXの世界」
銀嶺の人 下 新潮文庫 に 2-18 (詳細)
新田 次郎(著)
「何回も何回も読み明かした本」「一瞬、普遍で本質的なものを捉えることができた人々の物語」「さわやかな気持ちになれる本です。」「期待していなかっただけに面白かった」
「「実直」、その何ものでもない小説」「筆が弱い」「極めて現実的に生々しく描写された人間の感情,行動に、背筋や首筋に悪寒を感じながら読み進みました」「ときには”仕事”の厳しさと正対してみよう。」
銀嶺の人 (上巻) (新潮文庫) (詳細)
新田 次郎(著)
「2人の対照的な女性」「最高だ。」「若林美和子さんは理想でした」「山が好きな方にお薦めしたい一品です。」「2人の女性登山家がマッターホルン北壁登攀に挑む」
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・「一気読みできるおもしろさです。」
他人とうまくやっていけない、と思い込んでいる人は多い。おそらく主人公も、そんなに社会性のない人ではないのだろうが、うまく、人に接することができない人間だと、自分で思い込んでいる。
だれでも、ある程度は、そんな風に自分のことを考えているのではないだろうか。だからこそ、この主人公に感情移入できるのだ。
なんども読みました。新田次郎の代表的な傑作です。
・「天才ゆえの悲劇である」
天才というか、非凡な能力の持ち主には、基礎的訓練をひたすら繰り返すことができる能力があると思う。大リーガーのイチローが良い例である。ひたすら基本を積み上げて他者が到達できないことをやってのける。孤高の人、加藤文太郎の山に対する姿勢も、まさにこれで、歩くこと、重いものを背負って歩くこと、寒さや空腹や孤独感に耐えること等、当たり前の事だが普通の人ならまずやらないことを長期間にわたって日常的に訓練し、自分の基礎レベルを確実に上げていく。そしてその延長線上には世界最高峰が続いていて、自分は必ずそこに達すると決めてかかっている。加藤の対人関係の能力不足からくるものだが、山岳会や山の仲間とパーティーを組むことなく、単独行動するがゆえに、いかなる状況下でも生還できる自己を作り上げ、結果として当代きっての名登山家となってしまうのである。下巻において幸せな家庭を築いていくくだりはとても楽しく読むことができた。一見変わり者だが、確固たる意思を持ち、目標に向けて邁進するとともに、実験・試行錯誤によってステップアップする、そして飾らない人柄の加藤に女は惚れ、男は嫉妬する。読者としては、加藤のハッピーエンドを期待せざるを得ない展開であるが、その幸福の絶頂期において、悲劇のラストシーンを迎える。読むのがつらかった。これまで加藤に単独行登山家として最高の能力を引きだしてくれた"対人関係の下手さ"が諸刃の剣となって、明らかに危険な山行に引きずり込まれ身動きできなくしてしまうのである。加藤が良い意味でずる賢い人物であれば、あるいは軌道修正できたかもしれないと思う。山岳小説といわれるが、人生を考えさせられるエンターテイメントである。また、昭和初期の時代背景を垣間見ることもでき、主義者への取調べの厳しさや、現代では考えられないような結婚までの奥ゆかしい加藤夫妻の接し方など、新鮮に読むことが出来た。万人にお薦めするが、僕自身、学生時代に読むべきだったと思う。若い人には特にお薦めしたい。
・「おもしろい…おもしろすぎる…」
山をまったく知らないのに、書店で手にとり、購入。ぐいぐい物語に引き込まれながら、『万年筆か鉛筆(つまり手書きで)書かれた小説』の強さ、(筆者の)昭和的な強さ、粘りのようなものも感じていました。加藤文太郎。こんな方がいらっしゃったんですね。記念館に行ってみたいと思っています。
・「冬読むのがよろしかろう」
水筒に熱湯を入れ甘納豆と煮干しを携行し私は仕事をしていた。
多少寒い時期に読んでいたのを思い出す。冬山登山中の文章は布団の中で読んでいても寒く感じるほどだった。
冬山は魅力があり恐ろしい‥読みながら改めてそう思う、だがその一方で、やった事の無い冬山登山には妙に惹かれる。
浜坂は静かなとこだった、町では『文太郎さん』と親しく呼ばれていて嬉しく思った。加藤文太郎記念図書館の二階には彼の息づかいが聞こえてきそうな展示物がある。港に面した石碑も見たが石碑の文面は私もうなずき残念でならなかった。文太郎さんの墓に手を合わせたが、まるで自分のおじいちゃんにでも会ってるような感じだった。
かつて孤独を愛した者の最期は布団の中で読んでいても息苦しく、とてもリアルで身の上にも起こりそうな気がして冷や汗が流れた。
到底真似出来ない人だが、近くに住む植村直己さんと文太郎さんは自然界の神様に神として認められ召されたのではないだろうか。
・「家にいながらにして極寒の北アルプスで凍えることのできるほどのリアリティ」
山岳小説というのはどうやら狭いジャンルのようで、ちゃんとした作品を数多く世に出している日本の作家ということになると、10人どころか5人いるかどうかも怪しいです・・・。
逆に言うとそれだけ新田次郎が有名であるとも言えるのですが、短編長編あわせた様々な作品の中でこの『孤高の人』が最も面白いです。主人公は昭和初期に日本アルプスをたった一人で、しかも超人的なスピードで征服しまくった実在の人物である加藤文太郎です。非常に口下手で人との関わりが下手な人物なのですが、作者の巧みな筆運びによって、読み手は知らず知らずのうちに文太郎を応援してしまいます。
特に冬山での単独行はちょっとしたミスが命取りになる過酷な作業のはずなのですが、驚異的な体力と周到な準備を怠らない文太郎を見ていると、なんだか簡単そうに見えてしまいます。実際に当時としては相当抜きん出た存在だったのでしょう。
僕は一度もアルプスに行ったことはありませんが、この本を読むことで、自分が槍ヶ岳の山頂に一人で立ち、凍てつくような透明で鮮烈な空気を吸い、深い深い雪を踏みしめて稜線を延々とラッセルして行くような・・・そんな気分を味わうことができます。
・「孤高の人」
山とはなにか。人間とはなにか。人生とはなにか。そんなことを考えさせられた2冊。
・「フィクション?ノンフィクション?」
引き込まれるように読みきりました。花子夫人からぜひ実名でということのようですが、どこまでノンフィクションととらえていいんでしょうか?だとしたら宮村健に対して言いようの無い思いに駆られます。加藤文太郎に対しても何故という気持ちで一杯です。
Wikipediaにはこう書いてありました。本作はフィクションであるが、実際の登山記録(加藤の遺稿集「単独行」(たんどくこう)など)を元に作られており、登山が行われた場所、日時などにおいて多くのものが実際に行われたものと共通している。しかし、吉田富久(作中では宮村健)の描写が単独行と比較して著しく異なり、吉田が登山に誘ったことが原因で加藤が遭難死したかのような誤解を招く恐れのあるものとなっている。
とても気になります。
・「悲しき最後」
加藤文太郎は槍ヶ岳の北鎌尾根で遭難して死亡します登山家の宿命でしょうか悲しい最後ですね私も毎月山に登っています低山ばかりですが夢はヒマラヤですおよそ山に登るものの最終目的はヒマラヤです加藤文太郎は志半ばで逝きました彼の心を継ぐのは我々です
・「登山者は読んでみて」
実在の登山家,加藤の生涯を物語にした小説。登山家としての加藤の生き方がすばらしい。
・「陸軍の無謀な命令に従う男たちの冬山の戦いです。」
冬の八甲田は、現代でも通行禁止になるほどの山です。それでも時折、勝手に上って、遭難する人が出るほどの山です。この山を冬に超えるようとするのは、「訓練」ではありません。もはや人間をつかった実験です。陸軍が課したこれほどの過酷な課題に、男たちが命を賭けて挑みます。死力を尽くした彼らの行動に涙を流さずにはおれません。
新田次郎氏の筆が冴えます。名作です。
・「超迫力の描写」
観測史上最悪の寒波の時に三十一聯隊と五聯隊の運命が分かれる。八甲田山の雪中行軍に成功した第三十一聯隊もその道のりは険しくいつ遭難してもおかしくない状態であった。成功と失敗の原因は枚挙に暇がないが、やはり最大の原因は指揮力の差であったろう。第五聯隊の中隊長であった神田大尉は非常に優秀な指揮官であったが、自分が当時では珍しい平民出身の将校であるという負い目と遠慮が200名もの兵隊を失う原因となったことは事実である。しかしこの失敗の教訓が日露戦争では充分発揮されたことは事実であり、結果として日露戦争では日本が勝利を納めることができた。しかし皮肉なことにこの日露戦争の勝利が太平洋戦争では一番の足かせになったことも事実であり、実際に太平洋戦争時には本書に書いてあるような組織の指揮の誤りや戦勝体験による精神論が蔓延ることになった。歴史は繰り返す。失敗は成功の母そして成功の下久しく居る可からず等の諺が凝縮しているのが本書ではないだろうか?また、新田氏独特の描写がとても迫力があり、実際に私自身が雪山を遭難しているような錯覚に陥りそうになった場面も多くあった。
・「遭難とは」
登山を始めるといつか過酷な冬山に立ちたいものだと憧れる。が、それがいかに冷静な判断力と体力そして苛烈さを覚悟しなくてはいけないものか、ということを教えてくれる。極限の中におかれたときに、人間に起こるさまざまな狂気や絶望。徐々に壊れていく将兵たちの姿はまさに地獄絵図である。「遭難」の言葉のリアルな姿を文章から目の当たりにさせる、傑作であると思う。
・「研究と訓練なのにこうなっちゃうの?」
当初、リスクマネージメント、リーダーシップの参考のために読み始めましたが、読み終えてみて、勉強にはなる部分もあるが、考察するにはやや不適切と感じた。 やはりこれはフィクションの小説だからである。
著者が伝えたかったことは、死後も継承されるという軍隊の序列や、上長には間違いを間違いといえない状況が悲劇を生んだということであろう。
一方、軍が世論を気にして対策を講じる姿は、むしろ認識を新たにした。
序章から胸を締め付けるような悲壮感の伝わる文章で読むのが辛いが、山中での彷徨からは一気に読んでしまったほどの緊迫感があった。
・「一気に読める冒険もの」
明治時代に起きた実際の事件を基にしたフィクションです。一応人物名は変えてありますが、実話も挿入されており、フィクションとノンフィクションの境が曖昧で、ついつい全部実話だと思ってのめりこんでしまいます。明治時代ということもあり、生存者も少ないことから全貌がわかりにくい事件ですが、作者は登場人物のキャラクターやストーリーを単純化して実にわかりやすい物語に構成しているので、おもしろくて一気に読んでしまいました。軍隊内にいかにもありそうな、部隊同士のいがみあいや、上下関係が悲劇の原因になったという明解なストーリー構成や、兄弟間で霊的な交流があったり、吹雪の中を笑いながら案内する妖しい女がでてきたりという、幻想譚の挿入もよくできていて、読者の興味を刺激してくれます。
・「さすが新田次郎作品!」
日本の測量の歴史がよくわかって、興味深く読めました。もう少し、具体的な測量方法がわかればとも思いましたが、物語のなのでこれでも十分でしょう。登山や測量に興味がある方には、お勧め!
・「映画は原作を越えられなかった」
友人に勧められて読みました。読了後、何で山登りに明け暮れていた若い頃に読まなかったのかと後悔しました。 今、日本中どんな山にも必ずある「三角点」を設置し、私たちが当たり前のように使っている「地勢図」を作った人達のことを私たちは知りません。その名もなき人たちの、命がけの労苦に思いを寄せることができます。今とは違う貧弱な装備で、山岳地帯の道なき道を、重い測量道具を持って登るのは、想像を絶する体力と精神力がなくてはできないことです。 クライマックスの登頂場面はもちろんですが、人間ドラマも読み応えがあります。山岳会との関わり、勝手な上層部、県の役人との確執、怪しい修験僧、そして登頂後の皮肉な顛末…。私は最後の測量作業が終わった場面でぐっと来てしまいました。 命がけでやり遂げる価値ある仕事がかつてそこにあったということ、明治の日本にこんなすごい男がいたということを知っただけでも、読んでよかったと思います。 今回映画化された作品は労作でしたが、残念ながらこの原作の魅力には及ばなかったと私は思います。いつかまた、奇特な監督の手で再映画化され、原作の魅力にさらに迫る作品が作られることを願います。
・「新田次郎氏の美徳に共感できた」
新田次郎氏の本は、共感できるものと共感できないものが、分かれた。「武田信玄」は共感できなかった。「新田義貞」は共感できた。この「劔岳」は共感できた。
共通するのは、「生きることの美徳」であろう。「新田義貞」は主人公の新田義貞と楠正茂の対比で、生きてなんぼ、という美徳を主張していた本だと思う。この「劔岳」も、いろいろあるが、生きてこそ、を山登、測量、技術を通じて訴えている。
簡単に言えば、その「生きることの美徳」に共感する。良い本だ。
・「劔岳にはまってしまいました。。」
映画を先に観ましたが、映画の予告に魅せられ、監督した木村大作氏の話しに惹かれ、劇場に2度足を運び、映画の中の柴崎に惹かれ…原作を読みました。新田次郎のあとがきを読んでから、『劔岳、点の記』は明治の初登頂から、小説化、映画化、全てが、沢山の人の想い・縁・努力を怠らない人の強運・神々の応援があったから、成し遂げられもの。。と感じました。 苦難を厭わず大変な調査の後に書かれたこの小説を愛読書にしていて、映画化に挑戦した木村大作監督に感謝! 愛すべき案内人の宇治長次郎。。出会えて良かった本です!
・「プロフェッショナル」
測量官として剣岳に登頂を試みる柴崎。初登頂を目指す山岳会。柴崎の任務は、登頂ではなく測量である。悩みながらも自分の任務を遂行しようとする柴崎の姿がすがすがしい。冒頭に剣岳付近の地図が付されているが、もっと分かりやすくしてほしい。
・「事実の伝える重み」
事実に基づいた小説であり、過度に誇張されることなく、淡々とした筆致がその重みを伝えている。
・「遭難場面が恐い。」
大正2年8月におきた伊那駒ケ岳での尋常高等小学校生徒(今の中学生)の山岳遭難。その事件を基に、校長・教師・生徒達の人生を描いて行く。「白樺派」の出現で困惑する赤羽校長が、自ら教諭・生徒を率いて登山する。遭難を予言する白髯の翁。気象台は天候の変化を予測できない。急な暴風雨(台風)の中で次々と倒れる生徒。懸命に生徒を守ろうとする教師。読んでいて鳥肌が立つ。遭難小説として、鬼気迫る傑作と思います。
・「少年院の教官に必読書として薦めてきました」
私は,30数年前に少年院の教官になり,幾つもの少年院などで勤務した後,少年院教官の研修施設の教官になり,教育学の授業を担当していたのですが,この小説を教官必読として推薦しておりました。 推薦書とした背景は,一つには,この小説が映画化されたときに,職場の先輩に誘われて一緒に映画館に足を運び,その夜は,先輩たちの熱い教育論議に巻き込まれて,私自身が教育への情熱を掻き立てられたという経験があったこと,二つには,その後,長野県にある小さな少年院に勤務していたとき,60名ほどの少年たちと一緒にアルプスに登ったのですが,その登山を支えたのは,その少年院に勤務する地元安曇野に育った教官たちの,自然に対する愛情,教育への情熱であることを身をもって知ったという経験があったことです。 もちろん,ここにレビューを書いた理由は,ことに若い皆さん,広く教育を考える皆さんに,お読みいただきたいと思ってのことです。
その映画(DVD)についてのレビューもかきましたので,ご一読いただければ幸いです。
・「犠牲になった少年たち」
ある学校が「理想・信念」の為に、生徒を巻き込んだ登山計画を実行します。計画は極端に杜撰でした。 予算はケチる 下見は全然やってない 下山ルートは最悪 事前準備や訓練はロクに行わず 指導に無頓着 土壇場での判断は間違いだらけ 最悪なことに登山中に嵐がきて、当然のことながら遭難し死傷者続出という事態が勃発!私個人の意見としては、嵐がこなくても遭難したんではないかと思いました。準備万端かつ不測の事態にそなえても、事故や災害は襲ってきます。それなのに昔の軍隊にありがちな精神論で、穴だらけ計画で、危険度大の登山を敢行するなんて!正気の沙汰とは思えませんでした。理想を持つのは、素敵で好感が持てます。しかし理想ばかりを振りかざして、実践がともなっていないのです。生徒を死亡させた学校や先生たちは、人間としても失格のように思いました。色々と考えさせられる本です。
・「熱い事実を表現する冷静なる小説」
事実あったことを小説として描くことへの鬼気迫る苦悩が、どの行間からも立ち上ってくるようだった。それは作品を生み出す著者自身の苦悩もさることながら、描かれた人々の、「生か死か」を切り分けた事実の記憶が、いついつまでも苦悩として残ったであろう事に思い至るから。どの死に様も、どの生き延び様も、迫ってくるものは等しく大きいが、特別に心に残り、何度も読み返すのは清水教諭と三平の励ましあいの場面。三平心づくしの焼いた餅の熱さに生き返る清水と共に、読者は同じく極限を体験して、共に生き返る事だろう。
・「新田次郎は長編小説の方が面白い。」
八甲田、孤高の人、栄光の岸壁、を読んで面白かったので、こちらも読んでみました。それなりに面白いのですが、どうも、長編小説の方が、新田次郎らしい感じがでているような気がします。
氏の小説を読んでいて思うのは、人物の名前が突然でてくることが多いことです。取って付けたように、いきなり、あらたな人物がでてくるような感じがするため、現実味が薄れます。
短編小説であれば、人物の紹介に割ける文字数は限られるので、ますます、臨場感に欠けると思われます。
また、描写が過去形で語られることが多いことも、氏の特徴と言えるかと思います。本作品集は、特に顕著な感じがいたしました。
アイガー北壁の遭難は、やはり、短編では、語りきれないのではないでしょうか。
・「物足りない」
ルポタージュにしては無駄な心情の脚色がありすぎ、物語としては人物の描き方が紋切り型すぎると思います。無骨な山男と馬鹿な女という組み合わせは当時の流行だったのでしょうか?好き嫌いがわかれる短編集だと思います。
・「アイガーで飲む麦酒」
妙な縁でアイガーという山を今まで3回見る経験を得た。アイガーのふもとで麦酒を飲みながら見上げる山は 切り立った崖である。晴れた日に見ていると とても 色々な悲劇が起こる山にも見えない。
本書で読むアイガーは悪魔的な山だ。実話を実名で書いた本だから ノンフィクションと言って良い。読んでいて「なんでこんな思いをして山に登りたいのか」という思いがずっと頭を離れなかった。 一体 登山家ではないし これからもならないであろう僕としては 命を掛けて山に登るという行為自体が良く分からない。但し 人は 自分の中に 何か「山」を持っているものだしそんな「山」に命を掛けるというように普遍すれば ようやく この本が 自分の中で立ちあがってくる。そんな気がした。
アイガーのふもとで飲む麦酒は旨い。晴れた日は陽光は実にきつい。手をかざして見上げるアイガーは静かなものだ。
・「☆ふたつ」
山岳小説の短編集です。登場人物の心理描写がもう少し深かったらなあと思うことが多く、こちらが感情移入出来ないまま結末を迎えるものばかりでした。緊迫した場面でも、新聞記事を読んでいるかのような淡々とした感じしか受けず、女性の描き方も当時の時代ゆえかつっこみが足りなく感じられ、全体として物足りない印象しか受けませんでした。
・「めったに売っていないが味のある一冊」
この本は山の用具店の本コーナーで買った。普通の街中にある書店の文庫コーナーではまず見かけたことが無い。新田次郎はいくつかの好長編をのぞけば短編のほうが読後感のあるものがある。 全14編のうち今でも題名をみて今でも内容が浮かんでくるのが「気象遭難」・「凍った霧の夜に」の2編。
登山者同士の隔執・不気味な思いをするスキーヤーと題材は違うが妙に後に残る本だと思う。
・「自身をモデルとした富士山レーダー建設物語」
昭和30年代の終わり、富士山頂に気象レーダーを設置する物語。 過酷な気象状況のなか、困難な建設過程を描いた山岳小説ドキュメントだが、施工業者選定までの駆け引きを描いたビジネス小説ともとれる。 小説なので多少の脚色はあるだろうが、主人公は新田自身をモデルとしたほぼノンフィクションと考えて差し支えないだろう。
・「富士の絶顛に挑む」
昭和39年、富士山頂のレーダードーム建設を描く小説。新田次郎氏は長年の気象庁勤務の経験を持ち、実際にこの事業に深くかかわっている。作中の中心人物である葛城章一は新田次郎氏本人がモデルであることは、言うまでもない。
落札に向けた業者間の争いや、権謀に満ちたお役所的体質など、企業小説的な面白みもあるが、この小説の本質はやはり、富士山に挑む男たちの真摯な姿にあると思う。漆黒の闇に浮遊するようなレーダードームの幻想的な光景や、富士の絶顛に吹き荒れる嵐の描写は、さすが山岳小説(と言われるのを新田氏は嫌ったそうだが)の大家と呼ばれる氏ならではの迫力を感じた。
一生に一度の大仕事。生まれて来た以上は、そういうものを残したい。そんな高揚感を与えてくれる一冊。
・「プロジェクトXその後」
2004年から富士山の観測所が無人化された。このニュースを目にした時、やはり、新田次郎のこの作品を思い出してしまう。 国家的プロジェクト。日本一の山。自然条件の困難、組織的軋轢。 プロジェクトXの素材には格好の、富士山レーダー設置事業である。作者も気象庁関係者として富士山に関わっており、まさにこの本を書くのに最適の人物といえる。主人公も作家と役人を兼業している存在として形づくられている以上、そこに作者自身の投影を見るのは不自然ではない。 たしかに、数多の困難を乗り越えて、プロジェクトは成功する。テレビ的にはそこで話が終わるのだろう。だが本書の真価はそんなところにあるのだろうか? 主計官との予算を巡る攻防、内部での根回し、他部署との軋轢、そして突出した存在への風当たり。カタルシスをもって締めることを許さない、組織生活のリアルを作者はきちんと描いている。苦い読後感を持とうとも、読者はそれらを受け止めるべきなのだ。 とくに本書198ページの会話ときたら!
・「プロジェクトXの世界」
NHKのプロジェクトXという番組で、第一回目のテーマとなったのが富士山頂に「台風の砦」となる気象レーダーを建設するプロジェクトであった。厳しい気象条件の中のレーダー建設プロジェクトは、相当に困難なものであったのだが、メンバーの見事なチーム力で難題を次々と克服し、無事に竣工させた。
本書はそのプロジェクトを題材とした小説である。一部は脚色されている部分もあろうが、多くはそのプロジェクトの事実に基づくものであると推測される。この著者、新田次郎その人こそが、気象庁でこのレーダー建設プロジェクトを率いたリーダーなのだから。だから、本文からは、その時その時の緊張したやりとりがひしひしと伝わる。テレビでは伝わらない、そして伝えることができなかった人間ドラマをかいま見ることができる。番組を見て感動した人はもちろんのこと、そうではない人にもぜひ読んでいただきたい。
・「何回も何回も読み明かした本」
高校時代にあったこの本でした。
何回読んだでしょう。一人はもちろんモデルは今井通子さんでした。もう一人の若山美子さん(本中では美佐子)にあこがれました。最後の悲劇的な美佐子の死、同時にアルプス三大北壁に登頂した淑子の涙。まさに奇跡といっていい「二人の友情を超えたもの」がしっかりとした文体で書かれています。
特にアイガー北壁を登る淑子、マッターホルンの淑子と美佐子の描写はすばらしく、また美佐子、淑子を通しこれがただ「単なる山の小説」でなく2人の見事な生き方を描いたといっていいでしょう。
これと同時に今井通子さんの私の北壁などをお読みください。
・「一瞬、普遍で本質的なものを捉えることができた人々の物語」
三部作のうち、モデルであるご本人たち(の一部)が今も社会的に活躍されているのはこの「銀嶺の人」だけである。ご本人たちは確かに、女性の仕事・職場といった面で大きな功績を、この本に書かれた物語の後も残されている。
しかし、私としては、この本はそのような、仕事を持つ女性・強い女性の物語として読みたくはない。対照的な性格(と仕事)を持つ二人の女性が、同質の目標をほんの一瞬だけ持ちえた、奇跡の物語として読みたい。そうでないと、佐久間をはじめ、物語に登場する必要のなくなってしまう人々が大勢いる。
また、そのような目標として可能なものはとても少ないことにも注意したい。世の中の趣味と呼ばれているものの中で、おおよそ、その趣味の持ち主の属性と無縁でいられるものは数すくないのだから。
・「さわやかな気持ちになれる本です。」
本を読んだ後に、一点の曇りもなくさわやかな人間性だけが心に残る珠玉の作品です。
・「期待していなかっただけに面白かった」
「孤高の人」の後だっただけに、あれほどは良くないだろうと思っていたがこれが良かった。 山に登る女性にとって仕事や人生の幸せとは何かを考えさせる一編だと思う。 特に美佐子の最後はモデルとされた女性の最後とは場所・死因が異なるがこうしたことでより本編中の女性はより幸せとなったに違いないと感じた。
・「「実直」、その何ものでもない小説」
「新田次郎」の名はさすがに知ってはいたが、その本を初めて読んだ。今までその名前の印象から、「堅い」感じがして全く興味が無かったのだ。
しかし、世が変わり、藤原正彦の「品格」に始まり、この人の父親は如何なる人か?ベストセラー作家の藤原ていの夫、家族より頑なまでに仕事を優先した人物はどういう人か?と非常に興味を持ったのだ。蓋を開けてみれば想像通り、文章から「実直さ」が読み取れます。今回の本は、全て厳しい自然、山に関する内容。
・山にとんでもない重量の石を運ぶ・雪山で遭難・冬の富士山登頂観測・狼との戦い・山犬退治・孤島の観測
中でも、最後の「弧島」は、環境は違えど同じサラリーマンとして多少ながらも気持ちが解かりました。
■お薦め度:★★★☆☆(さすがに、下級侍の血を引く男の文章。理路整然。ここからやんちゃ次男坊の「品格」に通づるのであるな、納得!)
・「筆が弱い」
強力伝の主人公は小見山正がモデルだといわれています富士山の強力でしたが腕を買われて白馬岳の頂上に石の台を上げることになります175Kgの石を二つ頂上まで担ぎ上げましたすごいですね8年前に白馬岳に登りました頂上に石台を見つけましたこんなものを一人で担ぎ上げたのです強力伝を書いていたころの新田次郎の筆は弱かった嫁さんに負けてはいけないという気持ちが強すぎて不要な書き込みが多すぎるそれでも直木賞をゲットしたのは行間にあふれる情熱です我々は新田次郎の情熱に共感し感動するのです
・「極めて現実的に生々しく描写された人間の感情,行動に、背筋や首筋に悪寒を感じながら読み進みました」
中央気象台で富士山測候所勤務等の経験を持ち、「山」,「雪」,「風」を知りつくしたスペシャリストとして山岳小説の分野を拓いた「新田次郎(本名 藤原寛人)(1912-1980)」の処女作で、第34回直木賞授賞作「強力伝」に「八甲田山」,「凍傷」,「おとし穴」,「山犬物語」,「孤島」を加えた6短編小説が収録。
極めて現実的に生々しく描写された人間の感情,行動に、背筋や首筋に悪寒を感じながら読み進みました。
特に「強力伝」,「八甲田山」,「凍傷」,「孤島」は実話をもとに書かれた小説で、その想像を絶する様々な出来事から、小説を読みながらにして「事実は小説よりも奇なり」という言葉を思い起こしました。
・「ときには”仕事”の厳しさと正対してみよう。」
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・「2人の対照的な女性」
「孤高の人」から続く、3部作。 幼い頃からその勝気さで、何もかも1番でやり通して来た淑子が、美佐子と出会って、言葉は少ないながらも内に秘めた強さ、深い人間性に惹かれていく様子に、無理なく物語に引きこまれた。 淑子の目を通して、内気な美佐子の魅力を丹念に描写していて、自分と正反対のタイプということもあり、より心惹かれた。 これまで鎌倉彫には興味がなかったが、彼女が作品づくりに没頭する過程は、非常に興味深かった。 こういう彼女が作った作品なら、さぞ人を惹き付けるのではないか…素人ながらそう思った。 また勝気な淑子、内気な美佐子、それぞれが彼女達の意思で生涯の伴侶を決めていく過程も、各人の人間性が反映されていて、本当に友人として側にいるかのように、感じられた。 岩登りの訓練過程、海外遠征の準備、登攀描写だけではない登山の様子まで、全体に素人にも分かりやすく書かれていて、全編を通して夢中で読んだ。 本を読んだ満足感としては5である。 医師になってからの淑子の日々の描写が少ないためか、うっすら美佐子の方に重点が傾いている気がするので、「もっと淑子の物語も!」という気持ちがわずかに残った。
・「最高だ。」
読みながら久しぶりに胸が熱くなりました。山のことは何も知らない私でも、手に汗握りながら夢中で読み続けることができました。
駒井・若林パーティはそれぞれ違う性格、人生を歩みながらも、山に憑かれているという点では一致しています。「山」という存在が彼女たちにとって何なのか、本書の中でははっきりとは説明されていません。ですが、読み続けているうちに私たちは気づく事になります。「山」とは自分自身のことであり、それと正面から向きあうことは自分の人生とも正面から向き合うことだということに。
彼女たちはアプローチの仕方こそ違うものの、真摯に山と向き合います。そこに馴れ合いは存在しません。
峻厳な山と、ストイックな二人の性格がマッチしていて大変感慨深い作品でした。
・「若林美和子さんは理想でした」
高校時代読み、確かに仕事では駒井さん=今井通子さんになります。でも若山美子さんというモデルがいた若林美和子さん、なんと清冽で美しい女神なんだろうといまさらながら思います
・「山が好きな方にお薦めしたい一品です。」
山に興味があり、山初心者の私でも、頭の中に情景、人物像がリアルに浮かび上がるほどです。そして、この病んだ時代だからこそ読むべき小説だと理屈抜きに思いました。
・「2人の女性登山家がマッターホルン北壁登攀に挑む」
勝気な駒井淑子、無口な若林美佐子、性格の異なる2人の女性の出会いからマッターホルン北壁への挑戦、そしてその後。。。 臨場感あふれる登山描写はもちろんすばらしいが、医学生、彫刻家としての2人の生活、心の葛藤などの描写が作品に厚みを与えている。 作者はあくまで虚構の世界とことわっているが、実在する今井通子さん、
若山美子さんをモデルにしていることもリアルさの一因か。 今井通子さんの書かれた『私の北壁』と読み比べてみたいが入手できず。 本書が面白かったら、『孤高の人』、『栄光の岩壁』もお勧め。
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