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▼宮尾登美子:人気ランキング

新装版 天璋院篤姫(上) (講談社文庫)新装版 天璋院篤姫(上) (講談社文庫) (詳細)
宮尾 登美子(著)

「やっぱりドラマよりこちらですよ!!」「説明口調が疲れる」「先に読まないでよかった」「新たな発見があります」「この時代の女性の英知、そして覚悟」


新装版 天璋院篤姫(下) (講談社文庫)新装版 天璋院篤姫(下) (講談社文庫) (詳細)
宮尾 登美子(著)

「大河ドラマとはかなり印象が異なる」「幕末の激動に毅然と立ち向かう篤姫」「リーダーの、人間関係の、人格の教科書」「篤姫は日本人の心に宿る祖母の姿ではないでしょうか。」「宮尾版篤姫にリアリズムと存在感」


きのね〈下〉 (新潮文庫)きのね〈下〉 (新潮文庫) (詳細)
宮尾 登美子(著)

「ぜひ映像化を」「海老蔵のお祖母様」「歌舞伎と女」「神々しい女性」「実話が元になって居るんだと実感できる後編」


きのね〈上〉 (新潮文庫)きのね〈上〉 (新潮文庫) (詳細)
宮尾 登美子(著)

「歌舞伎はやはり日本の粋、でもね、ついて行けないね」「宮尾作品の中で一番好き!」「せつないです」「歌舞伎が観たくなりました。」「女のしあわせとは?」


鬼龍院花子の生涯 (文春文庫 み 2-1)鬼龍院花子の生涯 (文春文庫 み 2-1) (詳細)
宮尾 登美子(著)

「絶句するほどすばらしい文章表現」


序の舞 (中公文庫)序の舞 (中公文庫) (詳細)
宮尾 登美子(著)

「宮尾登美子ならこれ!」「宮尾登美子さん好きです」


東福門院和子の涙 (講談社文庫)東福門院和子の涙 (講談社文庫) (詳細)
宮尾 登美子(著)

「高貴な女性の誇りと悲しみ」「悲しみの先に」「聖人のような」「早くドラマ化を」「侍女の口から語られる栄光と悲哀」


櫂 (新潮文庫)櫂 (新潮文庫) (詳細)
宮尾 登美子(著)

「宮尾作品の出発点」「宮尾登美子ワールドを見ました。」「客観的に綴られた女の歴史」


伽羅の香 (中公文庫)伽羅の香 (中公文庫) (詳細)
宮尾 登美子(著)

「香道に尽くした女性」「香道という世界を知らしめた作品」


天涯の花 (集英社文庫)天涯の花 (集英社文庫) (詳細)
宮尾 登美子(著)

「天涯の花を東京でみる」「山と植物が好きなので」「書名の象徴するもの」「凛としたものを感じる」「しばらく出会えないかも」


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▼クチコミ情報

新装版 天璋院篤姫(上) (講談社文庫)

・「やっぱりドラマよりこちらですよ!!
大河ドラマ、それなりの面白さはありましたが、テレビ故の通俗性はありましたね。原作と比べると明らかで、私はやっぱり原作のほうが、人物が丁寧に描かれていると思います。このように主役に感情移入しすぎずに、適度な距離を置いてかける女性作家は数少ないですよね。そして、距離を置きながらも、宮尾さんの登場人物への愛情の深さを感じられ、宮尾さんんのお人柄を感じられずにはいられません。

この宮尾登美子さんの原作では、過酷な運命の中で、自分なりに揺らがず、前に進む篤姫の強さが印象的です。いくつかの宮尾作品にみられる、男社会に翻弄される自分の運命を悲観せず、かといって楽観せず、前を向いて生きる女性の姿です。

・「説明口調が疲れる
出来事を時系列に追って淡々と描いている印象を受ける。説明の多さにより人物の個性が伝わりにくく、私はあまり感情移入できなかった。大河ドラマの生き生きとした篤姫像は脚本家あってのものかなと感じる。

ただ、篤姫をはじめとする女性から幕末を見た視点は勉強になる。政治の動きに翻弄され、それでも進む姿には心を動かされた。

・「先に読まないでよかった
 一年前、本作品が、「来年の大河ドラマ原作本」として、店の一番目立つ場所に平積みされていた。そのとき、「どうしようかな」と迷った。先に読んでおくと予習にはなるが、入れ込みすぎると批判ばかりが先に立ったりするものだからだ。迷った末に「読まない」ことに決めた。そして、一年間大河ドラマが終了するまでは読むまいと心に誓った。そして、先日ついに大河ドラマは終了し、ようやく読むことができた。 上巻を読み終えて、まず思ったのは、「一年間我慢した甲斐があった。先に読まずに良かった」と心の底から思った。

 ドラマが終わってから日が浅いという理由もあるが、物語がイメージしやすいのだ。特に、篤姫と家定の会話のシーンや、幾島と滝山のシーンはイメージどころか映像として流れているようだった。

 大河ドラマを見た人はぜひ見てほしい。先に読んでしまった人も、もう一度読み返してほしい。きっと私と同じ体験をすることだろう。読んでない人は「読んでほしい」ではなく「読まなくてはいけない」だ。きっと、篤姫をもっと好きになり、ドラマを思い出すこともできるだろう。

・「新たな発見があります
大河ドラマの原作を読むと、テレビでは省かれている点や、演出の都合で新たな人物が登場していたり、補足になります。今和泉の父にも側室がいたのか・・・とか。この一冊でドラマ半年分の脚本を書いた作家には驚きます。

・「この時代の女性の英知、そして覚悟
いうまでもなく、今の時代とは女性の役割、世の中の女性観は隔世の感がある。たった数百年前明治にならんとする近代の黎明期において、トップレディといえ、主たる役割は世継の継承、バックオフィスの安泰であり、歴史的政治的な役割は期待されていない。とはいえ、バックヤードでのあるじたる将軍への影響力を期待され、多いとはいえないまた速いとはいえない情報から裁量をとることが期待されている。

いち早く多くの情報取得をできた人間が勝ち、そして性差は多様性と受け止める現在とは処し方も違えば価値観も異なる。そんな中で篤姫は鹿児島の分家の娘として生まれてから島津家の養女そして徳川の嫁として数奇な運命を進んでいく。この小説はその48歳の人生をコンパクトに力強く表現していったのものである。そのストーリーは小気味良く、言葉遣いも印象的で、彼女の思いや時代の流れと共感し、思いをはせることができる。

彼女はバージン女王ならぬバージン御息所であり、当時の国家である徳川の永続を強く願い、三千人の大奥の人間を統率したすばらしい女性である。

惜しむらくは、直接のコミュニケーションやリアルな会話ができにくい体制や時代の中で相互理解が進まず誤解と哀しみ怒りばかりにとらわれ、和解していくまでの和宮との関係、夫でありながら共感をすることが難しかった将軍との関係。こういったことは今の時代ではもう少し緩和されていくはずのものであろう。今の時代に彼女が生きていればどのような姿勢で生きていったかを想像してみようと思うのである。

新装版 天璋院篤姫(上) (講談社文庫) (詳細)

新装版 天璋院篤姫(下) (講談社文庫)

・「大河ドラマとはかなり印象が異なる
私は、まずNHKの大河ドラマを観て、それからこの原作を読みました。結論としては、両者はかなり印象が異なります。どちらが良い悪いということではありませんが、個人的には大河ドラマの方が楽しめました。とはいえ、接した順序が逆だったら、わかりませんが。

・「幕末の激動に毅然と立ち向かう篤姫
 上巻に引き続き、女性ならではの視点と感性のあふれるしなやかで、格調高い文体がたいへん読みやすく、我々を幕末の大奥の世界へといざなってくれる。 家定と斉彬の死、そして和宮の降嫁と大奥、そして篤姫をめぐる環境は激しさを増していく。大政奉還、戊辰戦争など、日本全体を揺るがす大事件の中にあってもあくまで徳川家の嫁として、一人の女性として誇り高く生き抜いた生涯は胸打たずにおかない。 明治維新後の生き様まで描かれる。気高い彼女は、近代日本の母といってもよいのではないだろうか。

・「リーダーの、人間関係の、人格の教科書
 本書は、天璋院篤姫の一生を通して幕末から明治までの激動の時代を描いた作品である。よって、本書を種類別に分けるなら、「時代小説」ということになる。しかし、それよりも本書は「教科書」といった方がいいかもしれない。

 まず、リーダーとしての教科書になる。特に家定亡きあとからは教えられることばかりだろうと思う。江戸城明け渡しの際や、篤姫の人身掌握はすぐれた「リーダーのため」の本といえる。

 次に人間関係として。和宮一派が入ったあとの和宮と篤姫関係や、江戸方と京方のいがみ合いなどを見ているとそう思う。「人間関係の難しさ」を教えるのには最適の良書といえるだろう。

 最後に人格として。 本作品中の表方の役人には、今の日本人と重なり合う部分がある。そんな時に思ったのが、「篤姫には今の日本人が見習うべき部分がたくさんある」ということだ。自分も含めて、篤姫の人格は見習わなくてはいけない。

 以上の意味でたくさんのひとに読む意味のある作品だと思う。大河を見ていない人にも読んでほしい。教えられることも少なくない良書である。

 注:ここでいう篤姫はあくまで「本作品中」の篤姫です。

・「篤姫は日本人の心に宿る祖母の姿ではないでしょうか。
ワクワクしながら最後まで読ませていただきました。幕末の動乱期に、徳川幕府が尊皇攘夷派との融和を目的に推し進めた公武合体策は歴史の教科書では習いますが、その実態がいかなるものであったのかを実に興味深く描かれています。徳川という260年にわたって日本の最高権力者として君臨していた将軍家が、天皇から来た嫁には身分が違うと言われるのは、こういうことがあるのか、と驚くばかりでした。民主制に慣れてしまった現代人も、様々な場面で、格差とか格式など取りざたされる世の中に住んでいますので機微が想像できます。最近まで、皇女和宮様はどちらかというと悲劇のヒロインで、姑の篤姫にいじめられたということが喧伝されていたそうです。著者の宮尾登美子さんはそのことに疑問を挟み、調べてゆくと江戸においては、篤姫の評判はすこぶる高く、京方、江戸方で話が全然違いました。また、大奥の記録というものが殆ど残されておらず、少しづつ資料を集めて完成したのがこの作品であるそうです。多分に宮尾さんの想像が含まれておられるそうです。嫁ぎ先の徳川家が滅びてゆく時代、懸命に家を支え、誇り高く生きられた宮尾さんの篤姫は末永く日本人の心に残っていくことでしょう。篤姫は、維新後徳川家の再興を思って、幼き徳川家達を厳しく愛情を持って躾けます。その姿は、孫を厳しく育てるお祖母さんを連想しました。

・「宮尾版篤姫にリアリズムと存在感
こちらが原作なのに失礼を承知で敢えて「宮尾版」と銘打たせて頂いたのは、私自身が大河ドラマをきっかけに本書を手に取った為です。

本書は大河の原作ですがそこにには、尚五郎の淡い初恋のエピソードも、後に維新の英雄となる若き日の西郷や大久保との交流も、阿呆を装うインテリ家定との純愛も描かれていません。

代わりに、政争の道具とするために、自分の一生から女の幸せと奪い去った養父斉彬への不信感を募らせたり、いつまでも皇妹との意識を捨てきれず徳川の女になりきらない嫁・和宮への苛立ちのあまり、自らが嫁を折檻する悪夢にうなされたり、妊娠どころか生涯男子と交わることなく終わるであろうわが身とひきくらべ、和宮懐妊の噂に思わず悲しい嫉妬してしまう等等身大の篤姫がそこにはいました。

大河に感動し、本書を手にとられた方には少々期待外れかもしれません。しかし本書の篤姫に圧倒的な存在感・リアリティとそこからくる魅力を感じるのは私だけではないはずです。是非是非大河ドラマだけではなく、もう一つの、そして真実の(少なくとも私はそう信じる)篤姫に会いに来てください。

新装版 天璋院篤姫(下) (講談社文庫) (詳細)

きのね〈下〉 (新潮文庫)

・「ぜひ映像化を
日本の伝統と女性の生き方が絡み合う でも運命に負けない主人公の生き方に感動厳しい時代だからこそ今読みたい1冊です ぜひ現在の海老蔵さんがおじい様の役で映像化される事を望みます

・「海老蔵のお祖母様
小説を書くにあたって、十一代團十郎のすさまじい癇癪(かんしゃく)に耐えた姿を書くということで今の團十郎サイドからは色よい返事がもらえなかったそうです。 しかし、團十郎さんの心配をよそに読み終えたあとは

まるで運命かのように結びついた雪雄と光乃夫婦を、とても素敵だと思いました。そしてその子供である今の團十郎さん、その孫である海老蔵さんにも、更に興味がわきました。

小説としても素晴らしいし、歌舞伎に興味がある方や、もちろん成田屋贔屓の方も、楽しめると思います。

市川宗家の重みというか、プレッシャーというのは、並大抵のものではないのでしょうね。團十郎さん、海老蔵さん、応援したくなりました。

・「歌舞伎と女
芸の世界、個性だらけの人のなかで自ら影の道をすすんでいく。赤ちゃんが生まれるシーンなど、ノンフィクションとは思えません。最後は夫婦愛で涙がとまりませんでした。

・「神々しい女性
主人公の一生を言葉で表現するなら「忍耐と献身」であろう。自分よりも主のことをまず考え、自分が守るべき分を常に考える人。宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を地でいく人。そういう生き方を貫いた人だからこそ、尚更、出産シーンには神々しいまでの人間力を感じた。とても爽快な読後感だった。

・「実話が元になって居るんだと実感できる後編
この話は、十一代目 市川團十郎様の奥様がモデルとなって描かれています。上巻よりも下巻には、「確かにモデルがいる」と思える場面があちことにあります。例えば、実際に芸能ニュースとなったことを元にしているんだろうなあ・・・と思われる場面とか。でもね、どうしても現実とは思えない場面もあるんです。例えば、出産シーン。これは現実じゃないだろう・・・と思ったら、宮尾さんが、「十二代目を出産する際に立ち会ったお産婆さんに会って話が聞けた時に、この話を描けると思った」みたいなことをインタビューで答えていらっしゃいました。ものすごーくびっくりしました。なんで、そんなに驚いたのかは、是非、本編を読んでいただきたい!

きのね〈下〉 (新潮文庫) (詳細)

きのね〈上〉 (新潮文庫)

・「歌舞伎はやはり日本の粋、でもね、ついて行けないね
歌舞伎が好きなので、「不思議の国の王子」海老蔵を見るのは楽しみのひとつ。そのお祖父さんとその妻の話は、関容子の本を読んでから、なんとなく気になっていた。それが、まるで長編のテレビドラマのように語られる。この夫婦の精神構造は、まるで江戸時代そのままである。主従という関係が夫婦や、親子を含む全ての関係に優先する。戦前に育った人は、果たして皆こういう考え方をするものだろうか?いや、そんな筈もないのだが、しかし歌舞伎という世界では、今も江戸時代の精神構造を保っているのだと著者は言う。そしでなければ、江戸時代の人物になりきれないし、芝居のリアリィティも出てこないのかもしれない。しかし、そういった窮屈で人権も何もない世界から遠く離れつつある今の眼で読むと、今ひとつ感情移入できない。何故そこまで自分を犠牲にしなければいけないの?女中であろうと、何だろうと。江戸時代は美的な意味で「美しい国」だったが、社会的には全部が美しかった訳ではない。歌舞伎はその両面を今も伝える不思議な国の中のおとぎの国であることを、この本は語っているようだ。

・「宮尾作品の中で一番好き!
女の人生を描いた作品が多い宮尾登美子さんの書籍の中で、「きのね」が一番好きです!田舎から東京に出てきた少女が、人材紹介所で偶然見つけた仕事とは、有名歌舞伎俳優一家のお手伝いとして働く仕事だった・・・まるで少女漫画並みの、「あり得ない!展開」に思えますが、それをどんどん読ませてしまうのが宮尾さんの筆力!健気に働く少女に次々に起こる波瀾万丈の展開に、夢中になってしまいました。

・「せつないです
読んでいて、とてもせつなくなりました。私達の時代ではもう手に入れることのできない、せつなさです。宮尾登美子さんの書かれるものは、女として少し悲しくなるけど静の中にある激しい炎を感じ、つい手にとります。女として生まれたなら、こんな愛を知ってみたいと憧れます。

・「歌舞伎が観たくなりました。
市川新之助さんの騒動があり、新之助さんのおじいさんに当たる十一代 団十郎も、内縁の妻がいて、子供が6歳になるまで公表されず、その奥さんがモデルになっているのがこの小説だと聞き、読んでみました。

先に母が読んでいて、尽くして尽くして尽くしぬく、主人公 光乃の姿が、母としては疑問を感じたという感想を

聞き、はじめは、光乃のかわいそうな話なのかな、と思っていました。でも、読みすすめていくうちに、いつのまにか、光乃に感情移入してしまい、「坊ちゃま」「旦那さま」の雪雄に夢中になりました。読み終えてから、改めて市川団十郎さんのHPを観て、ああ、この人があの人か、あの人がこの人か、と梨園の系譜も楽しみました。

もう一度、読み直してみようと思いました。

そして、読む前にはなんとなく新之助さんに反感を持っていたのですが、読み終えて、雪雄のモデルの十一代団十郎に生き写し、といわれる彼ならば、今回の騒動もしょうがないかな~、なんて思ってしまいました。

・「女のしあわせとは?
昭和初期、歌舞伎役者の女中となった主人公光乃が、辛抱のすえ憧れの人の妻となるまでがリズムの良い文章で進んでいきます。けなげな主人公に惚れるのは作中の人物だけでなく私たち読者かもしれません。歌舞伎好きな人は、もっと深い部分で楽しんで頂けるでしょう。先代の市川団十郎の妻がモデルとして描かれています。

きのね〈上〉 (新潮文庫) (詳細)

鬼龍院花子の生涯 (文春文庫 み 2-1)

・「絶句するほどすばらしい文章表現
故・夏目雅子さんの「なめたらいかんぜよ!」のセリフで有名な映画の原作です。

映画の終盤では、鬼政・松恵、父娘の和解と別れ、そして荒磯との最期の決闘におもむく鬼政の立ち回りなど侠客として生き、侠客として死のうとする鬼政が描かれていますが、原作・宮尾さん描くところの鬼政は山口組への上納金に苦しむなど現実的で生々しく、鬼政が土佐で侠客を名乗る最初から鬼龍院一家の衰退・終焉、そして花子の死まで、養女松恵の視点で容赦なく描ききっています。

文章自体ある種、侠気のある文章といいましょうか、女流作家らしい細やかさの中に、情に流されない筋の通ったものが感じられて読んでいて気持ちいいです。「翡翠滴る」高槻の山という表現が印象に残っています。

宮尾登美子さんの小説の中では長いほうではないので、一冊宮尾さんの小説を読んでみたいというひとにオススメです。

鬼龍院花子の生涯 (文春文庫 み 2-1) (詳細)

序の舞 (中公文庫)

・「宮尾登美子ならこれ!
「櫂」「春燈」「朱夏」「きのね」「寒椿」「天涯の花」「蔵」「クレオパトラ」…いろいろ読みましたが、私の宮尾作品ベスト1はこれです。 もう途中からは作者の存在が消え、「つうさん」が実体をもって浮かび上がって来ます。 「天才的な人」「努力の人」の話は今までたくさん読んできました。けれども、ここまで一つのことが好きで好きで、人生にはこれだけっていう人に出会ったのは初めてのような気がします。それはそれはすさまじい情熱です。前半のそれは絵に対して、そして後半はそれが手につかなくなるくらいに恋へと注ぎこまれます。 宮尾先生の筆も、いつもとは違います。明らかに他の作品にはない迫力があります。作中人物と一体化しています。 そして「女の一生」としても、ここまで読み応えのある物語はなかなかないと思います。いわゆる「普通の人々」の感動的な話とは対局にある、他人の評価を受け付けない猛烈な人生を送った女性「つうさん」に圧倒されるお話です。 女性に強力におすすめします!

・「宮尾登美子さん好きです
日本画、美人画家の上村松園の一生をつづった物語。宮尾登美子さんの文体は、とても淡々と話が進んでいきますが、しかしその文の奥にひそむ「女」の芯の強さにいつも感銘を受けます。宮尾登美子さんの本のなかでも、この「序の舞」はとくに女の強さを感じさせる作品だと思います。

序の舞 (中公文庫) (詳細)

東福門院和子の涙 (講談社文庫)

・「高貴な女性の誇りと悲しみ
皇后になるべくして生まれた和子の生涯は、傍目には何不自由なく、幸せに見えても、実際はこの物語を語る侍女にすら計り知れないほどの悲しみを抱えたものだった。この物語はその主となる物語のほかに、御所の中の生活、天皇となった人たちの人生がどのようなものかをかいま見ることもでき、その伏線もとても興味深かった。天皇という重責に苦しみ、御所内の楽しみは女性だけ、など、実際に侍女だった人ならまずは口にしないだろうと思われることにも触れられていて、そういうところに、作者宮尾さんの視点がふと表面に現れてることがあって、おもしろかった。東福門院の娘、明正天皇の人生にも興味が湧いた。

・「悲しみの先に
東福門院和子に奉公していたという”ゆき”の思い出話で進むもの。 語り口がやさしく丁寧で、ゆったりと話は進みます。

随分聞き分けのいい姫だなあと感じて読んでいましたが、 実は毎夜のように涙をこぼしていたのです。

読んでいくうちに予測はできるのですが、それでもゆきが涙でぐしょっりにぬれた紅絹の切を見つける様子には読んでいてとても切なかったです。

どんな身分であれ、願っていたことはひとつだったはず。

その願いすら口にはできず、立場をわきまえた振舞いをしていても実ははとても重く、 深い思いを抱えてのものだったのです。

女性としての深い悲しみを抱えながらも自分のあるべき姿を見出していく姿はとても強く、大きなものでした。

じっくり読むことおすすめします。

・「聖人のような
二代将軍の娘、後水尾天皇の中宮・和子の一生を、そば付きの女性が語る物語。

和子の母、江与の生まれから始まる、和子の人格を形作った血縁、環境といったものから語られる。当時としてはまれな、一夫一婦を貫き、両親と子供たち、という家族に育ったこと(後に、腹違いの兄弟が発覚するが。)が、繰り返し出てくる。

その思いを、入内してのちも持ち続け、帝の他の女御への移り気に苦しみのたうつ。帝の血を絶やさないための、御所では当たり前のことが、彼女には頭で理解できても心で理解できない。誇り故に、帝にお渡りをせがむことをしない。二十代後半以降、女として愛されないことで帝を恨むかのような記述は、彼女自身が招いたことなのである。

彼女は、満たされない心を、子の養育や着道楽で癒す。結果として、帝の親王たちの養い親となり、京の芸術家たちの庇護というかたちに実を結んでいくこととなる。親王が即位し、腹を痛めた娘たちは関白家などに嫁ぎ、彼女の人格、影響力は晩年に至って帝も認めるものとなる。

けして政争に関わることのなかった彼女が、子の養育という形で他の女御たちに差をつけていくあたりから、光を浴びる如く浮上していく。それでいて、彼女は仏教に深く帰依し、最期を聖人のように尼たちに見取られて長寿の一生を終える。

両親に愛されかわいがられ、心根の良い少女だったのだろう。帝に愛され子供を多く上げることが自分の役目だと思って、お渡りの途絶えを涙したのだろう。帝の愛が受けられないのならと模索した後半生が、やがては帝の尊敬を勝ち得て実っていく。血が天皇家に残らずとも、名を残した女性の物語。

・「早くドラマ化を
これまであまりとりあげられることがなかった東福門院の生涯。徳川将軍家の娘として生まれ、家康の五女市姫が夭逝したばっかりにその代役として入内しなければならなかった運命。幕府と朝廷を結ぶ政略結婚の具とされたというイメージが強かったけど、この原作を読んで、改めて和子の聡明さと彼女が果たした役割の大きさが理解できました。彼女は決して自分の生んだ興子内親王の即位(明正天皇)を望んではいなかったのではないか?我が夫・後水尾帝と他の女性との間にできた親王こそ即位させることが彼女の後半の人生の目標ではなかったのかと思います。そうして、また彼女は本阿彌光悦や雁金屋(尾形光琳・乾山)との交流・庇護を通して京都町衆文化の発展に寄与したことも納得できました。これまで和子はテレビドラマの世界では、酒井美紀(2000年NHK葵三代)片山美穂(1989年NHK春日局)杉田かおる(1989年関西テレビ大奥)野際陽子(1988年長七郎江戸日記)山口いづみ(1987年江戸城風雲録怒涛の将軍徳川家光)三浦リカ(1978年柳生一族の陰謀)などで演じられてきましたが、みんな脇役です。和子をヒロインにしたドラマが見たいです。

・「侍女の口から語られる栄光と悲哀
徳川二代目将軍の娘という恵まれた姫君時代。華やかな入内の儀。格式ある宮中での生活。夫・後水尾天皇との睦まじい夫婦仲。実子・養子を含めた四天皇の母という立場から、国母と崇められた東福門院・和子。

世の人々は彼女の得た福を羨むが、その内実は、お世継ぎ誕生という重圧にさらされ、公家・女官からは武家の娘と侮られ、

利害の対立する実家と婚家を憂い、待望の皇子は夭折し、幼くして女帝となった娘を案じ、夫の愛妾たちの存在を意識する、という悩み多き女性であった。

しかし、彼女は悩み多きわが身を哀れみ悲嘆にくれるのではない。

悩み苦しみ夜毎涙を流しながらもその哀しみに溺れずに在ろうとする、凛とした強さを持った女性がそこにはいる。

そんな彼女の流す涙だからこそ、それ!は清く、美しい。

この物語はお遊び相手として幼少の頃から付き従った侍女の昔語りという形で進む。その淡々と、それでいて主への深い親愛と忠義に満ちた口調が心地好い。

また同じように、祖父・家康、父母である二代将軍秀忠夫妻、家光、千姫ら兄弟、江戸城内の人々の様子、後水尾天皇、公家、宮中での女官ら、などが彼女の口から語られる。それら和子にゆかりある人々のエピソードの数々が読む人をさらに彼女の傍にいざなってゆく。

時代背景も徳川方の侍女としての立場から語られているし、当時の江戸城、宮中での風俗も興味深い。時代は違えど数々の悩みを抱えた現代の私たちに、彼女のように清く、美しくありたいとひそやかな勇気を与えてくれる良質の歴史小説である。

東福門院和子の涙 (講談社文庫) (詳細)

櫂 (新潮文庫)

・「宮尾作品の出発点
「櫂」→「春燈」→「朱夏」→「仁淀川」は宮尾登美子の自伝小説といわれ、引揚者である私は関心のある「朱夏」をまず読んだのだが、一連の作品を読破したいと言う気持ちになり、最初の「櫂」を手に取った。

・「宮尾登美子ワールドを見ました。
女性作家が好きでたまたま選んで読んだこの「櫂」。最初の数行読んだだけで、その文体から宮尾さんの世界へ引きずり込まれたような気がします。土佐という土地を舞台に主人公「喜和」と、夫「岩伍」そして娘「綾子」を軸に繰り広げられる、こんなにも激しく、だけどどこか美しく優しい物語を久しぶりに読んだ気がします。

女である主人公が時に弱く哀しい人でありながら、時に強く正しい人であり、読み進めるうちに、自分の母を想い、祖母を想い、自分を想い、この作家の宮尾さんという人を想ったりしました。四部作の「春燈」「朱夏」「岩伍覚え書」も是非読もうと思います!

・「客観的に綴られた女の歴史
櫂をはじめて読んだのは中学生のころである。当時は、仕事かたぎで家庭を顧みない岩吾に強い反発を感じた。しかし15年以上たって読み返してみると、お嬢さん育ちの喜和に対する描写も、非常に客観的に描写されていることが感じ取れる。

櫂 (新潮文庫) (詳細)

伽羅の香 (中公文庫)

・「香道に尽くした女性
三重の山林王の娘葵が、身内の度重なる不幸を越え、日本の香道の再興に尽くす話だ。

・「香道という世界を知らしめた作品
宮尾作品には、封建的な時代に一人の女性が一つの芸を極める物語がいくつかあり、「一絃の琴」が最も有名であろう。本作品も「香道」という滅びかけた世界を復活させた女性の物語。お嬢様に生まれながらも、家庭的にはいろんな不幸に襲われる主人公。しかし、香道を一身に極めようとする彼女の姿はあまりに清廉で心打たれる。そして裏切りにあっても、責める事も反論することもせず、静かに身を引くその姿は、驚きすら感じた。「一絃の琴」を気に入られた方はぜひこちらもどうぞ。

伽羅の香 (中公文庫) (詳細)

天涯の花 (集英社文庫)

・「天涯の花を東京でみる
天涯の花は宮尾登美子の小説です。四国に関する小説はほんとに少なくて何故だろうかとおもってしまいます それはともかく この天涯の花は「きれんげしょうま」という剣山だけに咲く花と宮尾氏は書いておられる花と主人公をかけているのですが この「きれんげしょうま」は2000メートルちかくある剣山に登らなくても毎年8月の初旬に 東京国分寺駅前にあります 都立とのがやと公園のなかで見ることが出来ます 一度いかれてみてはいかがでしょうか

・「山と植物が好きなので
養護施設で育った孤児の少女珠子が、四国の霊峰剣山上にある神社の宮司へと養女に入り、おとなしく素直で誰からも愛されるが、親の無い子故に生ずる色々な困難を乗り越え、山の自然の中での成長と恋の物語だ。

・「書名の象徴するもの
 「天涯の花」に心惹かれて購入した本。珍しくも可憐な黄の花キレンゲショウマ(黄蓮華升麻)だった。四国剣山には数知れぬほど花は咲くが、この花ほど辺りを払って誇り高く、大きな群落をなし、迫力のある花はない。主人公珠子はそう思う。「私はこの花に会うため、お山さんに来たのではないか」という気がしてくるのだつた。 この花と自分とは深い縁で結ばれているような、不思議な感じに打たれる。 自分の恵まれない身の上にとって、その花の世にも珍しくも美しい姿を思い浮かべることは、この上なく幸せなことだった。お山の寂寥、人生の寂寞、その中にあって、何に救いを求めて生きるか。捨て子として養護施設に預けられて育った彼女。やがて、このお山の神社の神官の養女となる。そうして多くの人に支えられて生きていく。優しくしてくれたが、去っていった久能。この先いつ会えるか知らないが、剣山にキレンゲショウマの咲く限り、「あの人はきっと戻ってきてくれる」と信じ、新しい勇気が湧いてくるのだった。

・「凛としたものを感じる
終戦の年の9月18日に捨てられていた赤ん坊。その子は珠子といい、養護施設愛光園ですくすくと育っていった。木暮園長は珠子を養女にと望んだのだが、彼女は剣山の宮司白塚夫妻の養女となることを決意する。そこで待っていた生活とは?

「捨て子」だという身の上が常につきまとう。今と違い偏見の目で見られることの多かった時代の中で、珠子は自らの運命を切り開いていこうとする。若い女性が山の中で何の娯楽もなく過ごす・・・。普通なら耐えられなくなってしまうと思うが、彼女は自分が選んだ道をただひたすら突き進む。決して周りに流されることなく、おのれの信念を貫いていく。その強さには驚かされる。いろいろな人との出会いと別れを繰り返し、成長していく彼女の姿は凛として美しい。珠子のこれからの人生はいったいどうなるのか?もう少し彼女の人生を見つめたかった。

・「しばらく出会えないかも
 何年かに一度、「しばらくもうこんな本には会えないかも・・・」と、読後に感動しながらも、寂しさを覚えることがある。 そして、これも何年かに一度、どうしても物語の舞台となった土地を訪ねてみたくなる。

 来年の夏は、キレンゲショウマが咲く頃、四国徳島の剣山に登ってみようと思う。「天涯の花」とは、高山植物キレンゲショウマであり、純粋なまま少女から大人になっていく主人公、珠子そのものである。 松たかこの初座長舞台でも有名になった「天涯の花」だが、舞台の再上演は、もうないのだろうか。ぜひ観てみたい。

 女の一生ではなく、15歳から20歳までを描いた物語であるだけに、その純粋な美しさは、他に例を見ない。

天涯の花 (集英社文庫) (詳細)
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