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深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫) (詳細)
沢木 耕太郎(著)

「興奮の醒めない旅へ」「人それぞれ、旅の情景が、ある。だけど」「流浪願望を焚きつける魔書」「学生のうちに読んでおけばよかった…と思う本ナンバーワン。」「青春の象徴 人生のような旅」


遠い太鼓 (講談社文庫)遠い太鼓 (講談社文庫) (詳細)
村上 春樹(著)

「決してガイドブックではない」「40を手前にしてチャレンジをした作品であったということが分かる。 」「読むと旅に出たくなる本」「旅行記」「大好きな本のひとつ」


女三人のシベリア鉄道女三人のシベリア鉄道 (詳細)
森 まゆみ(著)

「仏蘭西の野に激しく燃えた灼熱の恋」


明治人の姿 (小学館101新書)明治人の姿 (小学館101新書) (詳細)
櫻井 よしこ(著), 700(編集)

「この本は世界の国々とは違う、日本の個性、良い面を知るための本」「先人に学ぶべき人生の本当の智恵」「明治の人の生き方に触れられます」「「不平不満を口に」(p31)しているだけ」


アンダーグラウンド (講談社文庫)アンダーグラウンド (講談社文庫) (詳細)
村上 春樹(著)

「地下鉄サリン事件の「本当の恐怖」」「オウム事件が風化しないためにも読み継がれるべき」「何でもっと早く読まなかったんだろう。」「マスコミが失ったジャーナリズム」「村上春樹は木をみることに徹した」


「そうだ、村上さんに聞いてみよう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける282の大疑問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか? (Asahi original (66号))「そうだ、村上さんに聞いてみよう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける282の大疑問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか? (Asahi original (66号)) (詳細)
村上 春樹(著)

「面白い!だけじゃなくてハッとさせられる答えもある」「ちょっと高いけど悪くなかったです。」「アボガドのおいしい食べ方」「色んな心情の読者に響く、貴重なQ&A集です」「著者の最近のエッセー・小説よりおもしろい」


深夜特急〈3〉インド・ネパール (新潮文庫)深夜特急〈3〉インド・ネパール (新潮文庫) (詳細)
沢木 耕太郎(著)

「どれもが『濃い』」「沢木耕太郎 フィクションとノンフィクションの狭間」「インドは今も変わっていないだろう」「Deep」「インドの様子が分かります」


深夜特急〈2〉マレー半島・シンガポール (新潮文庫)深夜特急〈2〉マレー半島・シンガポール (新潮文庫) (詳細)
沢木 耕太郎(著)

「旅は人と出会うために行く」「マレー半島 香港・マカオとは一味違う旅の行方」「娼婦達と野郎ども。」「曜日の感覚がなくなるなんてイイね」「マレー半島縦断鉄道の旅」


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫) (詳細)
米原 万里(著)

「米原さん戻ってきて」「白・赤・青...「大きな物語」と「小さな物語」が激しく交錯した、四人の少女の物語」「国境を越えて人はつながることができると体感的に理解できる」「世界はひとつ、と思わせてくれる」「民族・人種の理解に」


深夜特急〈4〉シルクロード (新潮文庫)深夜特急〈4〉シルクロード (新潮文庫) (詳細)
沢木 耕太郎(著)

「さあ、今夜はたくさんお上がりなさいね」「今では辿ることが難しくなったシルクロードのバスの旅」「イスラムの国々に行ってみたい」「蒼味を帯びた風」「バスの旅の始まり」


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▼クチコミ情報

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)

・「興奮の醒めない旅へ
これを読むのは10代でないといけない。もしくは25歳までに読まなければいけない。旅の静けさ、熱気、胸の高鳴り。すべて私は感じてしまう。活字を追っているだけなのに。進むにつれてそれは徐々に薄くなるのだが、それでも私の心ははるか遠くのシルクロードにあるのだ。これを読むと必ず旅に出たくなるだろう。私はこのような刺激に遠ざかっていたし、それを求めていたのかもしれない。私が26歳になったときには、興奮の醒めない旅へ出たい。

・「人それぞれ、旅の情景が、ある。だけど
私が海外に行ったのは、ほぼ沢木さんの書いている内容とかぶっていた。21でシンガポール・25で韓国。ここまではパッケージツアーだった。そして29で、中国は珠海(マカオの隣の、中国の町です)に渡り、そこで暮らした。それまでの2国は、まぁフツーに歩いただけだったけど、国境一つ越えたとこにある香港とマカオは、「深夜特急」以上に刺激的だった。この本を読むたびに、口にするのはおこがましいが、私と沢木さんは見事に同じようなことをやっていた。「香港はエネルギーがいる」だけど、その刺激がたまらなく、いい。私はその熱気にやられた旅人。いや、珠海住み着いたから旅人じゃなかったんだけど。そこで女に恋し、熱い思いもした。いつも、ビクトリアピークは美しかった。ジャッキー・チェンの手形は、意外と小さかったのも知った。マカオの海の匂いは泥臭く、香港は潮くさかった読んでいると、出てくる情景は自分の旅だった。

・「流浪願望を焚きつける魔書
オリジナルは1968年5月リリースの『深夜特急 第一便』。本書はその前半部分を文庫化したもので、1994年3月25日リリース。文庫化の巻末には『香港』で名高い山口文憲氏との『出発の年齢』と題する1993年11月に実施された対談が加えられている。

本書は正に『流浪願望を焚きつける魔書』と言えるだろう。日々凡々と繰り返しで変化無い日常を過ごしている人間に、何故旅に出ないのか、という無言の力を放っている。おそらくは複数の人間は日常を切り上げ、旅立つことをしてしまっただろう。生きている、というのはそういうことではないか、と思える。

本巻では主に香港・マカオが描かれているが、無計画な体験が外連味無く、瑞々しく描かれ本当にステキだ。特に『大小』に魅入られていく姿と、取り巻く人々に『人』そのものを感じてしまう。何度でも読み返してしまいそうな唯一無二の作品である。

・「学生のうちに読んでおけばよかった…と思う本ナンバーワン。
社会人1年目の頃に読みました。で、猛烈にこんな旅をしたくなるのですが、まぁこんな旅をしたくとも、女子の海外一人旅はちと厳しいってところもありますし、会社入っていきなりやめるわけにもいかず、時すでに遅しで、憧れだけが募りました。会社を辞めて旅へ出る行くほどの勇気もないので、以来せっせと夏休みを利用して旅行を続けています。できれば、今現在学生さんの人に、是非読んで欲しい本です。

・「青春の象徴 人生のような旅
本当に久しぶりに名著「深夜特急」を第1冊から読み返しています。突然再読したくなる魅力と魔力を兼ね備えた本であることを再認識しました。筆者が旅をした1970年代前半当時と現代の価値観は当然違うはずですが、このワクワクするような高揚感はいつの時代も不変的な魅力だったのです。筆者と同世代の時に読んだ時の強烈な印象とは別に、年を重ねてからの通読はまた違った感覚を呼び起こしました。旅はまさしく人生だと。

本書でも頻繁に描かれていますが、自分の思い描いたような展開はなかなか訪れませんし、それゆえ、風の吹くままに放浪を続けます。見知らぬ町で突然アクシデントに巻き込まれることもあります。惰性で旅を続けている内に旅をする目的まで失っていく状況も描かれています。ぬくぬくとした環境から脱出するのもまた旅の原動力なのでしょうし、成長の証なのでしょう。

マカオでのサイコロ博打「大小」へののめり方は半端ではありません。若さの為せる技かも知れませんが、無鉄砲で行動しながら考えるという筆者の生き方の特徴がカジノでも発揮されるわけで、必勝法とも言うべき奥儀を見つけた時、筆者と一体になって次なる展開を楽しみました。一気に読ませます。

何もかも突然に捨てて見知らぬ街を訪れてみたい、という願望は誰しも胸に抱いていると思います。バックパッカーの多くがその魔力に取りつかれて世界を放浪しているわけで、彼らの拠り所は今も昔も『深夜特急』にルーツを持っているのかも知れません。筆者のような生き方は出来ませんが、せめて本書を読むことで疑似体験させてもらっています。沢木耕太郎も還暦を過ぎ、発刊当時の読者も同様に年を取りましたが、毎年のように若い世代の愛読者が出ているわけで、永遠の青春の書であることに違いありません。

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫) (詳細)

遠い太鼓 (講談社文庫)

・「決してガイドブックではない
ガイドブックとは、本来良い事しか書いていないもの。異国でスリに遭った・ホテルでお湯が出ない・バスから荷物を落とされた…等々愚痴や文句は決して書かない。旅行記にしては愚痴が多すぎる(笑)。そういう意味では村上さんが言うようにこれはガイドブックでも旅行記でも無いですよね。

でもなぜかこの本を読むと、たまらなくその国を訪れたくなるんだろう?なぜ繰り返し読みたくなるんだろう?

プロの作家だからこそ村上春樹だからこそ書ける最高に魅力的な『率直なひねくれ旅行記』です。『ノルウェーの森』がベストセラーになった時に村上さん夫妻が味わった心の闇についての記述も興味深いです。

・「40を手前にしてチャレンジをした作品であったということが分かる。 
 村上春樹さんが、ギリシャで「ノルウェイの森」「ダンス・ダンス・ダンス」を書き下ろした、その期間のエピソードとギリシャの様子などをエッセーにまとめた作品です。40歳までにこの2作を書きたいという強い思いが著者の中にはあり、異国で小説にしたためている。

 本書「はじめに」でも書いているように、日本にいるとだらだらとめりはりなく年をとっていきそうに感じ、著者はあえて知り合いの少ない土地に向かう。そういった気持ちで書いたためか、どちらの小説もとても初々しい。村上氏が40を手前にしてチャレンジをした作品であったということが分かる。 

・「読むと旅に出たくなる本
海外のことをこんな目線でおもしろおかしく捉えられるのがすごいと思います。なおかつ、読んだあと旅に出たくなる一冊。

・「旅行記
人気作家、村上春樹の旅行記です。奥様と日本を離れ、ギリシア、イタリアに滞在した3年間の記録です。観光地等ではなく、現地でアパートを借りての生活の記録です。ジョギングをしたり、買い物に行ったり、レストランやカフェで食事をしたりです。ランチア・デルタを買い、ドライブをしたりしています。当然、故障のエピソードもあります。滞在中、翻訳をしたり、ノルウェイの森を書きあげたりしています。とうてい、普通の人にはできない外国体験ですが、作家の感性が伝わり、面白い旅行記です。最初、著者も言うように、時差ボケなのか、面白くないのですが、だんだん、面白みをますので、最初で、つまらないと思い、投げ出さずに、最後まで読むのをお勧めします。こういうところ、演出なのかどうかわかりませんが、著者はすごいなあと思います。

・「大好きな本のひとつ
とにかく楽しくて面白い。何がどうこう言うより、とにかく面白い。何が面白いのかよく分からないけれど、読後感はとても良い。村上氏のエッセイが嫌いじゃない方にはお勧めです。

遠い太鼓 (講談社文庫) (詳細)

女三人のシベリア鉄道

・「仏蘭西の野に激しく燃えた灼熱の恋
「女三人」とは与謝野晶子と中條(宮本)百合子、そして林芙美子です。この有名な文学者が時は異なるけれども同じようにシベリア鉄道に乗ってモスクワ経由でパリまで行きました。そこで著者も同じルートで彼女たちの足跡を、そのそれぞれに目覚ましい果敢な行き方ともども追跡し、あわよくば追体験しようという趣向です。

山川登美子などの強力なライバルを打倒してついに与謝野鉄幹(寛)を略奪した晶子は、歳を追うごとに創作意欲を喪失して作家生命を衰弱させていった夫をよみがえらせるためにパリにやるのですが、今度は夫の不在に耐えられなくなって、たくさんの子供を夫の妹に託して身一つでシベリア鉄道に乗り込みます。ちなみに2人の旅費と滞在費は、すべて晶子が獅子奮迅の奮闘努力で書きまくる原稿料から工面されたのです。

どうしてそんなダメ亭主を忘れられなかったのか、と自問して「寛のセックスが良かったのであろう」と答える著者に、私ははしなくも晶子さんと森まゆみさんとの共通項を見出したような気がいたしました。それは物事をまっすぐに見つめる、正直で、リアルな生活感覚です。

寛恋しさにすべてを投げ捨てて一九一二年の五月にパリに飛んで行った晶子。そのおかげで、ほんのいっときではありましたが、与謝野夫婦はかつての恋人同士の関係にかえり、「第2の青春」を取り戻しました。

ああ皐月仏蘭西の野は火の色す君も雛罌粟われも雛罌粟

という世紀の絶唱は、そのなによりのあかしではないでしょうか。私はこの句を目にするたびに紅いコクリコの花が咲き乱れる草原を白いパラソルをさした婦人がたたずむモネの絵を思い浮かべます。

そんな晶子のケースよりもっと興味深いのは、一九二七年同性の愛人湯浅芳子と共にシベリア鉄道経由でモスクワに入り、社会主義の創生期に立ち会った中條(宮本)百合子、そしてその四年後の一九三一年に、パリにいる恋人を追って国際的「放浪」の旅に出た林芙美子が繰り広げるさまざまなエピソードですが、その面白さはどうぞ本書を直接手にとって確かめて頂きたいと思います。

なおタイトルでは、「女三人」と謳ってはいますが、実際は著者自身のシベリア鉄道・パリ紀行がかなりの比重を占めていて、実際には「女四人のシベリア鉄道記」といってもよいでしょう。三人の歴史的人物以上に著者の個人的な旅行記録が少々でしゃばりすぎているように感じたのは私だけでしょうか。

♪七人の子供を残し巴里に住む恋しき夫に会いに行く女 茫洋

女三人のシベリア鉄道 (詳細)

明治人の姿 (小学館101新書)

・「この本は世界の国々とは違う、日本の個性、良い面を知るための本
以前に、尊敬している方から、「日本人は“短伝(たんでん)”といって、親から子にいろいろな面について短く伝えていくという文化があった。でも、戦争でそれが全て台無しになってしまった。」と聞いたことがあります。なんのことかしら。と思っていましたが、この本を読んで日本人が何を大切に思い、そして子供に何を伝えてきたのかが理解できました。

・「先人に学ぶべき人生の本当の智恵
歴史に学ぶ、先人に学ぶことの重要さは、そのことで現在の自分を見つめ直し、生きるヒントにできるところにある。その点、本書は先人の人生の智恵、日本人が大切にすべき価値観に満ちている。もちろん時代が違うので、その価値観をそのまま現代にあてはめることはできないが、だからといって否定するのは愚者のすることだ。本書が取り上げる杉本えつ子は、武家の教育を受けてきたからこそ、米国に渡ってからも、自ら保つべき価値観を大切にしつつ、相手の文化を尊重し、受け入れることができた。たんなる日本人の美徳礼賛にとどまっていない点をきちんと評価したい。

・「明治の人の生き方に触れられます
明治の人の生き方、その倫理の高さに驚きます。優れたジャーナリストである著者によってわかりやすく書かれているところが良いと感じました。かつての日本人が同時代の外国より子供を大切にしていたことは来日外国人の著書でも見ることがあり、日本の美点だったと思います。この本について著者を脅している?とも思える批判がありますが、「日本には反日の言論の自由はあるが、親日の言論の自由は無い」との言葉を思い出しました。

・「「不平不満を口に」(p31)しているだけ
1.内容武家出身の明治人の生き方に共鳴する著者は、地元が同じの(新潟県長岡市出身)杉本鉞(えつ)子さんの『武士の娘』(ちくま文庫)を中心に、武家社会や明治人の高潔さを礼賛する内容になっている。2.評価この本で評価できるのは、p188〜p190(杉本さんの略歴、本の案内)だけである。内容全編ダメ。たとえば、自分の気に入らない人などに対する酷評(内定取り消しの人や権利を主張する人など)は何なんだろう。「どちらが優れているかという問題では」(p92)ないだろう。それぞれの時代を精一杯生き抜いているだけではないだろうか。また、やたら日本人を評価するあまり、外国人が劣っているとも読める表現(たとえば、p159「日本人はいかに子供を大切に」。外国人は子供を粗末にする?)もダメである。そんなに昔がいいならば、本なんか書いてないでタイムマシンでも作れよ!と言いたいほどのお粗末な出来である。ついでに書くと、礼賛はいいが、外国人が劣っているかのように書いた本を出したから、今後外国には行けないだろうな。以上、星1つ。

明治人の姿 (小学館101新書) (詳細)

アンダーグラウンド (講談社文庫)

・「地下鉄サリン事件の「本当の恐怖」
村上春樹さんが地下鉄サリン事件の被害者たち 60人以上にインタビューしたものをまとめたものです。

「そのときに地下鉄の列車の中に居合わせた人々は、 そこで何を見て、どのように行動をとり、 何を感じ、考えたのか?」

ニュースで何度も伝えられた「地下鉄サリン事件」と 一人一人の家族や会社など多様なバックグラウンドをもった人々を 通して語られる地下鉄サリン事件。

数多くの「具体」を通して 地下鉄サリン事件の「本当の恐怖」に村上春樹が迫る。

巻末にある村上春樹のまとめとも言える、 「目じるしのない悪夢」 衝撃が強すぎるので、心の用意ができていない人は 控えたほうがいいかも?!

・「オウム事件が風化しないためにも読み継がれるべき
 地下鉄サリン事件のことといえば、村上春樹がはじめて世界に対してコミットメントしようと動いた事柄でもありました。どちらかというと、世界の流れと全く無関係の世界を生きてきた小説家としての村上春樹が、世界でいまあること、起こっていることに対して、なんらかのアプローチをしようとしたのがこのタイトルの二作品でした。  どちらも、インタビューのノンフィクションルポルタージュということで、他の村上春樹さんの小説とは違い、あくまで村上春樹がこのオウム真理教事件とはなんだったのか、地下鉄サリン事件ってなんだったのかと真摯に向き合おうとしたインタビュー集です。 たぶん、いい意味でも悪い意味でも、普通のインタビュアーやマスコミ、ルポライターがインタビューして出来るものとは違う何かがここにはあると自分は思います。そんなわけでこのサリン事件の日にこの二冊も紹介しておきます。文庫のほうが携帯しやすいと思いますので文庫版を挙げておきます。

・「何でもっと早く読まなかったんだろう。
被害者は事実をありのまま話し、聞き手はありのままを文章にして伝える。

シンプルだからこそ読み手に伝わるリアルで生々しい現実。

何でもっと早く読まなかったんだろうと思う。

でも、それでもやっぱり、公の場で語られた事実というのは、全体のうちの、ほんの一部に過ぎないんだろうなぁ。

・「マスコミが失ったジャーナリズム
この本には、地下鉄サリン事件の記憶が閉じ込められています。沢山の記憶の欠片が叫びとなって、戦慄の瞬間を物語っています。確かに映像のような衝撃や脳裏に焼きつくような印象は、読んでいるうちはあまり感じられないでしょう。ですが、読み進めるうちに、沢山の日常生活に生じた悲劇と非日常に、読者は引きずりこまれます。

この本は、まさしく報道です。ワイドショー化したテレビには失われた、真実が伝えられることの大切さがあります。テロリズムの、カルトの、壊れた日本の現実とそこで生じた犯罪と被害者の悲劇を読者は知ることができるはずです。

・「村上春樹は木をみることに徹した
 地下鉄サリン事件の被害者一人一人にに村上春樹が直接インタビューして集めた体験談集。 『地下鉄サリン事件』 というひとつのテロ事件が日本人にとって一体どういうものであったか理解する上で,この本に勝るものはおそらく無いのではなかろうか。 

 マスコミによる地下鉄サリン事件の報道では,オウム側の犯罪手順や思想等について詳細な分析がなされたのに対し,最も苦しんだはずの被害者達は単に 『かわいそうな人々』 というカテゴリにひとくくりにされただけだった。 筆者は直接被害にあった人達の一人一人にじかに会って,彼らの生い立ちや仕事,生活背景などについて細々と話を聴くことにより,地下鉄サリン事件というものが一人一人の被害者の人生において一体どういう衝撃であり,どういう爪痕を残したのかを理解したかったという。

 何か物事を理解しようとするとき, 『木より森を見よ』 という言葉があるが,筆者は木の一本一本をつぶさに眺めることに徹していた。 また, 『自分が現在前にしているインタビュイーの一人ひとりを,個人的に感情的に好きになろうとつとめた』 と語っていた。 人それぞれが異なった生活背景や人生経験,性格をもっているものだし,それぞれが人間社会のドラマの中で重要な役割を演じているものなのである。 人間というものの社会や歴史を見つめる場合も,そのことを忘れてはならないと感じた。

アンダーグラウンド (講談社文庫)

アンダーグラウンド (講談社文庫) (詳細)

「そうだ、村上さんに聞いてみよう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける282の大疑問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか? (Asahi original (66号))

・「面白い!だけじゃなくてハッとさせられる答えもある
ちょっと立ち読み程度で済ませようと思って、本屋で手に取ったのですが、面白かったのでつい買ってしまいました。

ちょっとハードめな質問(「私は今こういう状況で悩んでます。村上さん、どうしたらいいと思いますか?」というような)から、「ゴルゴ13はどうして絶倫なの?」「サンドイッチは縦に持って食べる?横に持って食べる?」など、どうでもいいような質問まで真剣に、ときにはユーモアのある答えを返していて、読んでいて参考になるし、楽しいです。

また、普段はあまり書かない、作品への思いなども垣間見ることができます。

村上春樹の小説を何冊か読んだことのある人におすすめです。

・「ちょっと高いけど悪くなかったです。
けっこう面白かったです。小説家にしろ新聞記者にしろ、基本的には一方的に情報を発信する立場にいるので、質問を公募してそれを公表するという試みはとても興味深かったです。編集の仕方もランダムな感じで、どうでもいいような質問や浅はかな質問まで掲載している姿勢にとても好感を持ちました。

内容そのものよりも「村上春樹祭り」みたいな全体的な雰囲気がよかったです(笑)

・「アボガドのおいしい食べ方
村上春樹が読者のどんな質問にも答えてくれている本。確かに『セックスで「いく」と宣言するのはなぜ』や『この世で一番好きな食べ物は何』など読んでも意味を得られないQ&Aもあった。でもまぁ読んでもいいんじゃないかなと思った。ノルウェイの森の装丁の意味、どうしたら自分が好きになれるか、人生の目標がない子供達 などにも丁寧に小説で思うユーモアを織り交ぜて回答してくれている。軽く読む分にはいいと思うわ。

・「色んな心情の読者に響く、貴重なQ&A集です
私はこのシリーズ本を朝日新聞(出版元)に勤める女性から、電車の中で読むのに調度良いといって薦めれられました。本を読んでの私の感想は、家でじっくり読むに値する内容だったというものでした。

本当に他愛のない質問にユーモアも交えて回答している村上さんですが、以下のようなとても真摯で心に響く内容の回答もあり読者一人ひとりの心情に対して、ある時はリラックスさせてくれたり、ある時は勇気をくれたり、ある時は慰め、癒されるとても貴重な類の本だと思います。

「文学とは競争や勝ち負けではありません。大事なのは作家が作品の中でどれだけ自分を深く表現できて、それがどれだけ深く読者の心に届くかということです」「スコット・フィッツジェラルドが述べている魂の午前3時には目を覚まさないことです。魂の午前3時には、どんな人でもものすごく孤独になります。死にたくなるくらい孤独になります。目を覚まさない為には・・・」

・「著者の最近のエッセー・小説よりおもしろい
正直言って、著者の最近のエッセー・小説よりおもしろかった。一般人(ほとんどが、著者のファンでしょうが)からのあらゆる質問に丁寧に答えています。なかには、そんなこと訊くなよ、という質問にも真摯に答えています。春樹の応答には、つくづく感心してしまいました。なんて、奥の深い人なんでしょう。応答の内容に一貫して感じるのは、上品なユーモアが介在していることでしょうか。禅の応答のようにも思えます。村上春樹の人間性がよくわかり、彼の小説を読み解く上でも、すごく参考になりました。これだけの内容でとにかく安い。

「そうだ、村上さんに聞いてみよう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける282の大疑問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか? (Asahi original (66号)) (詳細)

深夜特急〈3〉インド・ネパール (新潮文庫)

・「どれもが『濃い』
オリジナルは1986年5月リリースの『深夜特急 第二便』。本書はその前半部分を文庫化したもので、1994年4月25日リリース。文庫化の巻末にはこの『3』で登場する此経啓助氏との1984年8月掲載の対談『十年の後に』が加えられている。

『深夜特急』自体の最初の部分は、この『3』のカトマンズの部分から始まっている。それだけ、この『3』に収められた部分が最もディープな場所だった、ということでもあるだろう。思い出したのは植草甚一氏の『カトマンズ・・・・』である。第8章『雨が私を眠らせる』では、文体まで変わり、手紙になり、そこで旅は停止したかのようになる。ベナレスでのドラマチックな日々やブッダガヤでの子供たちとの生活、どれもが『濃い』。

第一便と第二便の間が18年も開いたのは何故だろう。おそらくはこのインド・ネパール・パキスタンでの日々が何であったのかを、考えたのではないだろうか。ジム・ロジャーズのバイクと車での二度の世界一周の話にもシビれるが、沢木耕太郎のインドはもっとシビれる。

・「沢木耕太郎 フィクションとノンフィクションの狭間
多くのバックパッカー達を夢の世界へといざなってきた沢木耕太郎の『深夜特急』は何回読んでも彼の体験した世界へ惹きこまれていきます。本書の後半部分に書かれているインドのベナレスでの聖なるものと俗なるものの混沌とした日常にはあらためて驚きましたし、インド的なるものを追体験させてもらいました。ガンジス河の沐浴所と死体焼場の隣接だけでなく、死体の扱いもまた日本人の死生観とは全く別の次元のものでした。このような筆者の体験がまた驚きとなって多くの若者をインドの旅へと誘っているのかもしれません。未知なる事柄に遭遇するたびに、旅そのものの魅力も感じるわけですが。

沢木耕太郎は、26歳の時に全てを投げ打って旅に出て、30代後半の時に本書(単行本)を世に出しました。実際、その間に10年以上の歳月が流れています。無名の作家も、この頃には有名な作家・沢木耕太郎として知られているわけで、若き旅人の無計画さと無鉄砲さをどこか冷静に見ている中年の作家がそこに存在しているのです。

彼の体験は当然全て実際上のものでしょうが、書かれている紀行文での彼の行動と考え方は、10数年という月日のフィルターを通して、消化され、旅のエッセンスを高い純度で再提示しているものと考えます。それをフィクションというにはあまりにも早計です。旅の道中では、その坩堝に掘り込まれ流されている者にとって、その意味を知る余裕もありません。人生を旅に例えますが、先の読めない旅の途中で、その時点を冷静に振り返るなんて作業は難しいに決まっています。だから、作家がしっかりと旅の意味を捉えた段階で文章化するのは「あり」でしょうし、その作業を経たからこそ、何十年と若者に支持されたわけで、ここに「深夜特急」の魅力が宿っていると思います。

・「インドは今も変わっていないだろう
 私もインドを旅行したことがあります。日本の常識が通用しないことや人々の貧困に大変驚いたことを覚えています。 この本では駅や路上で生活している人やベナレスの死体焼場のことを取り上げていますが文章がどちらかというと冷静です。残念ながら1巻の「香港・マカオ編」のちょっとの事にも興奮して何でもやってやろうというワクワク感が減じてしまっているように思います。旅も佳境に入って、一日一日を現地の人たちとどうやって過ごすかということに重点が置かれているので仕方のないことかもわかりませんが・・。

・「Deep
とにかく深いインド・ネパール編。第八章の「雨が私を眠らせる」は手紙という表現上もあわせて本当に淡々と描かれているが、それがまたアンニュイな気持ちにさせて、じめじめした気候を想像すると自分がとけていきそうな気がする。第九章の「死の匂い」の死体焼き場をポツンと眺めてる著者を想像してると、気が滅入るがそこの描写にあるように不思議な恍惚感が湧いてくる。インドって国は不思議な国だとは思っていたが、何かこれを気に勉強してみたくなるようなもしくは行って見たくなるような変な気持ちになりました。

それにしても貧困に苦しむ子供たちの姿には胸が痛くなるが、本当にちょっとしたきっかけでみせてくれる笑顔などというシーンでは心が温まるね。。。

あとラストの対談ではブッダガヤで出会った此経(これつね)さんと懐かしい回想などをしてましたが、興味深く読めて面白かったです。

・「インドの様子が分かります
カルカッタ/ブッダガヤ/カトマンズ/ベナレス/デリーと転々としながらいろんな経験をしている様子が分かります。筆者が旅行をしている時代のインド/ネパールの状況も分かります。現在の状況と比較してみたくなりました。前2巻と比較して、重たい内容も多くなっており、筆者が旅に慣れて現地のいろんな状況を感じ取ることができるようになっていると感じました。

深夜特急〈3〉インド・ネパール (新潮文庫) (詳細)

深夜特急〈2〉マレー半島・シンガポール (新潮文庫)

・「旅は人と出会うために行く
オリジナルは1968年5月リリースの『深夜特急 第一便』。本書はその後半部分を文庫化したもので、1994年3月25日リリース。文庫化の巻末には俳優高倉健氏との『死に場所を見つける』と題する1984年1月に掲載された対談が加えられている。この対談が本編と並ぶくらいに面白くて、文庫版をこの部分だけでも手にとって読む意味はある。

第二巻は『マレー半島・シンガポール』である。ぼくは10年ほど前にマレーシアを夏休みに一週間かけて車で縦断した経験があるので、特に興味深かった。ぼくの印象に最も残ったマレーシアはこの本にも乗り合いタクシーの部分で出てくるが『スピード狂』である。国民総スピード狂ではないかと思うほど、恐ろしいスピードでかなり古い車が文字通り飛び回っていた。バスを乗り合いタクシーが追い抜くシーンはそれと重なってしまって思わず頷いてしまった。

ここまで読んでみて思うのは、旅というのは名跡を見歩くのが楽しいのではなくて、そこにいる人たちと触れ合うことにこそ楽しさがあるのだな、ということだ。特にシンガポールのあたりでそう思った。そしてただただ羨ましい。ホントに羨ましい。そういう本である。

・「マレー半島 香港・マカオとは一味違う旅の行方
沢木耕太郎の深夜特急シリーズは、バックパッカーの永遠の愛読書と同時に、今なお青春の書の代表のようなものでもあります。全てを投げ捨てて、気ままな一人旅をしたい、と思ってもままならぬ現実があるわけで、本書を読む人は、沢木の行動に自分の夢を託しているのかもしれません。忙しく生活に追われる現代人にとって精神の開放につながる書籍でしょう。前作の香港・マカオの熱を帯びた文章と比較すれば、少し冷静な沢木を発見します。

アジアでも微妙に国民性が違い、それは、タイ、マレーシア、シンガポールと下るに従ってそれぞれの違いがはっきりしてきます。安宿を探すあまり、ペナンの娼館に泊まり続けるエピソードが興味をひきます。ヒモの生き方の大変さもうかがい知れました。沢木は冒険野郎ですが、このように冷静に人間の優しさ、悲しさを感じ取るという感性の豊かさが読者に心地よいのです。人との関わりを避けるように日本を離れながら、旅人は異国の旅先で人との関わりを持たざるを得ませんし、持つことを欲します。旅の醍醐味と真髄がここに出ているようです。

その昔、本書で描かれたペナン、クアラルンプール、シンガポールを旅行したことがあります。本書を読むとそれがいかに表面的なツアーだったかと思い起こしています。沢木のような旅は、人々の間に入り込み、同じ食べ物を食べ、生活を一緒にすることで、深くその土地に根付き、その個性を浮かび上がらせます。それゆえ、同じ国でありながら全く違う印象を感じ取りました。

対談の高倉健との「死に場所を見つける」も面白く読みました。寡黙な人というイメージの高倉健が沢木と意気投合して様々な旅について語る話は本編とは別の意味で興味を惹きました。

・「娼婦達と野郎ども。
香港を出発して、マレー半島を下ってシンガポール向かう第2巻です。

なんといっても娼婦の館での件が面白すぎました(笑)。なんか陽気で和気あいあいとしてる雰囲気が伝わってきて思わずニンマリ。娼婦にたかるヒモの若者達なんてギャグにしか思えないが世界は広いもんだ(笑)。

前回から亘って、同じアジア圏でも色々と差異もあり読んでて面白いですね。何か旅先で出会う人々をみてると、やっぱ日本人って真面目なんだよなぁ〜と感じます。まぁそのぶんつまんないのかもしれないけどね。

人物描写もいいんだけど、食べ物の描写がいいな〜。僕なんか普段食べたか食べないかわからないぐらい、食べることにこだわりも執着もない人だが、これ読んでると不思議なことに無性に食い意地がはってきます(笑)。なんかどれもこれも美味しそうに思えてくる。

あと巻末についてる対談は高倉健さんとです。「死に場所を見つける」なんてヤバイぐらいカッコいいタイトルだが、内容も渋くて勉強になりました。オススメです。

・「曜日の感覚がなくなるなんてイイね
 私達はどこか別の世界に連れて行ってくれることを期待して本を読むことが多いです。この本は、ページをめくればいとも簡単に夜行列車の旅をしたり売春婦の館に泊まったりできてしまいます。 バンコクやシンガポールなどの都市は魅力が少なかったようですが、その分、多くの人とふれあい多くの人の親切を受けます。白人や黒人と違って黄色い肌のアジア人同士だとどっかで分かり合えるような気がします。

・「マレー半島縦断鉄道の旅
前巻は香港・マカオの滞在型の旅でしたが、今回はマレー半島を移動しながらの旅行記となっています。バンコクからスタートしてシンガポールまで途中いろんなところに立ち寄りながら長い時間をかけての旅となっています。移動には鈍行の列車を使っており、現地の様子が伝わってきます。いろんな場所を移動しながら、旅の技術が向上していっている様子が分かります。特に面白かったのが、筆者が「そろそろ次の街へ移動する時期だ」と感じる瞬間です。この感覚をマレー半島で見につけたことが、この後の旅をいい方向に導いたのではないかと思いました。

深夜特急〈2〉マレー半島・シンガポール (新潮文庫) (詳細)

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)

・「米原さん戻ってきて
なんて面白い本なのだろう! そして米原さんてなんてスゴイ人なんだろう!それが読後の印象です。米原万里さんについては「ブロードキャスター」などのコメンテータとしてよくお見かけしていましたが、紹介される肩書きは「ロシア語通訳・エッセイスト」だったと記憶しています。何者なのか興味もなかったし著書を読んだこともありませんでした。どこかの新聞書評で高く評価されていたこの作品を読んで、彼女がありとあらゆる意味で凄い、凄すぎる人だと知りましたが、すでに時遅し、彼女は2006年にガンで早すぎる一生を終えていました。日本共産党幹部の娘として、冷戦下の東欧で世界中から集まった共産党員の子弟用の学校で超エリート教育を受けたときの思い出話と、ソ連崩壊後にかっての同級生を探しにゆく話なのですが、人間はイデオロギーや人種・民族を超えて一つになれるということを示唆してくれます。また、共産主義というもののウソ臭さや建前論を暴きつつも、一品手作り的な人としての教育や人材育成には労力をおしまなかったソビエトの凄さを教えてくれます。冷戦終結後にかっての同級生たちが外国人に対し手紙の返事すら禁じられていたことと、それぞれのその後の重すぎる人生を知るというようなお話です。このような人生体験を経てロシア語を身に付けた米原さんのような人はもう現れないであろうし、このような作品を執筆できる人もいないと考えた場合、その損失の大きさに慄然とせざるを得ない。ペットの話や通訳の話などもおもしろいが、できればソビエト式の教育や東欧での生活などもっと書いてほしかった。(手遅れであるが)

・「白・赤・青...「大きな物語」と「小さな物語」が激しく交錯した、四人の少女の物語
 「平和ぼけ」と言われる日本に於いて、完全に戦後生まれでありながら、「大きな物語」と「小さな物語」がかくも激しくスパークした瞬間に少女時代を過ごし...しかも、長じて語学と文才に恵まれ、このような本を書く事ができる...そんな米原万里と同時代人・同国人であった事を、私たちは誇りに思い、「二物(三物以上?)」を与え賜うた神に感謝すべきでしょう(私は無心論者だが)。

 考えてみれば、日本は戦後、「冷戦」というなのもう一つの大きな戦争の大きな歯車を担っていた訳で、決して「平和ぼけ」なんていう言葉で自国民を貶めて欲しくはない、とおもう。 米原さんの軌跡を思い浮かべるたびに、こんなおっきくて複雑な体験をした日本人も居たのだ、と。 考えてみれば、日本共産党の大物代議士の娘であるにもかかわらず、(党とは80年代に訣別したようだが)、社会的にこれほど注目され大きな働きをした人も珍しいのではないか? 凡百の反共主義者が小賢しく思えて来る。

 「心臓に毛が生えている理由」という本に収められている「...真実を書いた理由」という文章で、NHKの「世界・わが心の旅」の取材が土台にある事を知ったが、決してTVの副読本みたいなかんじじゃなく、一冊の独立したノンフィクションとして屹立していると思う。

 本書はいきなり読んでも十分に引きつけられるが、もし共産党やソ連などに興味や知識が無かったならば、先に、「終生ヒトのオスは飼わず」の第二部あたり読んで下地を付けてからの方が、より深く味わえるのではないか、と考える。そして、本書を読んだ後は是非、「オリガ・モリソヴナの反語法」も手に取って欲しい。 この二冊はワンセット、コインの裏表みたいな感じだ。どちらもゾクゾクと痺れ、このまま急いで読み終わるのがもったいない、という焦燥と、早く結末を知りたいという欲望のせめぎ合いを、感じるでしょう。 そして、読了後しばらく、プラハとモスクワあたりに、心はさまよい続けます。

・「国境を越えて人はつながることができると体感的に理解できる
1960年代の初め、著者はチェコのプラハにあるソビエト学校にいた。そこで生まれた様々な国からきた同級生との友情、そして数十年後の再会。その間にはソ連崩壊、プラハの春、民主化運動など、その時代時代で個人を翻弄する世界の動きがあった。この本の面白さは、小学生から中学生という時期だからこそ、かたよった思いがなく、人物本位で友人関係が築け、その思い出をもって数十年後の再会に劇的な印象を与えていること。60年代プラハ、そして現在のルーマニア、ユーゴスラビアなど政治体制の激変を直接体験した貴重なエピソードがふんだんに披露されていること。様々な比較文化の視点が述べられていることである。文章も本当に読みやすく、読後感もよい素晴らしい本であった。

・「世界はひとつ、と思わせてくれる
昨年だったか一昨年だったかに急逝された米原万里さんの実体験記。

米原さんはロシア語の同時通訳をやっていた方。そして、この人の書く本はどれも人間の真実を衝いていて、もの悲しくも温かく、時にはセクシーで、時には爆笑を誘う。

この本の粗筋を書く能力は僕にはないので、とにかく心ある皆さんに読んで頂きたい。

この本には、ロシア、ルーマニア、日本、イギリス、ドイツ、アメリカ、ユダヤ、イスラエル、ユーゴスラビア等々インターナショナル満載である。

そして、読んでいてわかるのは、資本主義にも共産主義にもそれぞれ明暗があり、一人の人間に弱さも醜さも、強さも美しさもあるということ。それはつまり人間の真実である。

今、未曾有の経済危機なんていうけど、くだらない。今回の件の本質は一部の特権的な人や国(アメリカ)が宴のあとを僕らもたざる者、弱き者にツケ回ししようとしているだけのこと。経済なんて、永遠に成長できるはずはないのだから、今回の件を機に贅沢をやめればいいだけのこと。その方が地球を長持ちさせてくれる。

結局、いつの世の中にもどこの世界にも悪漢はいるし、志士もいる。しかし残念なことは、今の世の中の方が悪漢も甘いマスクをし、志士はその数が減り深く潜行するようになり、そして志士たちを理解し見つめつづける米原万里さんやこの本で描かれているリッツア、アーニャ、ヤスミンカのような大人びた少女達もきっと減っているだろう事だ。

世界は今も昔もひとつ。願わくばこの本の時代よりも、更に親しくひとつとなることを。

・「民族・人種の理解に
 米原万里さんの貴重な体験、経験をもとに、日本人にとっては、苦手な多民族、人種の理解の一助となる貴重な一冊である。 東欧の共産主義社会で生活したというだけでも、日本人にとっては、貴重な経験であるが、その東欧プラハのソビエト学校で学んだ友人たちの、その後の話が軸である。 亡命ギリシア人、ユダヤ系ルーマニア人、セルビア系ユーゴスラビア人 それぞれの、その後の人生は数奇であるが、ユダヤ人や、ユーゴスラビアの人々を理解する上でも貴重な体験集でもある。

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫) (詳細)

深夜特急〈4〉シルクロード (新潮文庫)

・「さあ、今夜はたくさんお上がりなさいね
オリジナルは1986年5月リリースの『深夜特急 第二便』。本書はその後半部分を文庫化したもので、1994年4月25日リリース。文庫化の巻末には今福龍太氏との1993年2月掲載の対談『終わりなき旅の途上で』が加えられている。

『4』はインドを出発し、アフガニスタン→イランとシルクロードを西へと向かうところである。凄く意外だったのは建築家の磯崎新氏との親交だ。まだ無名だった頃から、奥様で彫刻家の宮脇愛子ともども再会を喜び合うシーンが出てくる。再会時の豪華な一食のために旅路を急ぐのが面白い。また、奥様の挨拶より先の『さあ、今夜はたくさんお上がりなさいね』が可笑しい。

ここでも様々な人に出会う。印象的なイスラムの老人たちの様子が心に残った。

・「今では辿ることが難しくなったシルクロードのバスの旅
旅に危険はつきものですが、政治情勢が不安定な国の旅は現在では難しくなりました。この「深夜特急」の第4作は、情報の少ない国々の魅力がダイレクトに伝わってきました。たとえそれが30年前の姿であったにせよ、バックパッカーにとって本書はバイブルのような存在でしょうから。

インドのアムリトサルからパキスタンのラホール、そしてラワール・ピンディーへ向かう長距離バスの荒っぽい運転は日本では考えられない凄まじさでした。理解を超える状態を体験するから旅の醍醐味を味わえるのでしょうが。アフガニスタンへの旅も今では大変難しいルートになっています。ペシャワールからカイバル峠を越えてカブールそしてカンダハル、実に魅力的なルートですし、30年前の治安の良さを感じました。カブールのアベズ・ホテルでの客引きの体験を通して、若者の生き方の違いを明確に示したわけで、生きることと旅の本質的な違いも浮き彫りにしたように感じました。

有名な建築家の磯崎新氏と彫刻家の宮脇愛子さんとの出会いもまた旅の触れ合いと人情の温かさを感じます。イランのテヘランでの街の魅力は、魅力的にかつ具体的に描かれています。「イランの京都」のイスファハンでのモスクの情景と祈りのシーンは印象的でした。挿入されているモハメッド・アリとジョージ・フォアマンの「世紀の一戦」をテレビ見たというシーンは、共有できる思い出でした。

イスファハンのバザールの老人との間で繰り広げられる時計売買のやり取りで感じる筆者の優しさと思いやりが、この長旅を筆者と一緒にたどる読者にとって清涼剤となっていることでしょう。

・「イスラムの国々に行ってみたい
 著者はバスに乗ってパキスタンからアフガニスタンそしてイランへと旅を続けます。イスラム圏の国々は現在アメリカと敵対していて、そのアメリカと同盟関係にある日本にとってはこれらの国々はどちらかというと危険で怪しげなイメージがあります。でも、時計売りのオジサンとか、客引きをさせるホテルの若造とか、バスに乗ってきた親切な役人とか、登場人物は皆個性的で魅力的です。この本を読むと大寺院でコーランの朗誦を聞いたり、露天でカバブを食べ歩きたい気分になります。

・「蒼味を帯びた風
このシルクロード編を読んでいると、文中でも使われてる蒼味を帯びた風がスーッと吹いてくるようなそんな感じを受ける。最初の方の勢いというものが薄れていき、著者自身の内面描写にスポットが当たる部分も多い。だが迷い迷う姿には誠実さがあるような気がした。

ここでは乗り合いのバスがメインで淡々と進む所があるので、ある種起伏に欠けるが、それでも一台のバスの中に多国籍の放浪者達が集まる画は想像しただけで何か面白いし、バスの窓から時折覗く景色に非常に心が揺れるね。淡々としてるが、そこここに微妙に違う色があって感慨深いね。

最初の香港編から物乞いはずーっと出てきたが、ここで登場したロッテルダムの男という青年が、ほぼ限りなく文無しに近いのに、それでも物乞いの子供たちに自分の金をわけてやる姿には感動したし考えさせられたね。著者もそこで衝撃を受けて、ある意味解放されて自由になったと書いてるが、ほんとあげるのが良いとか悪いとかの理屈じゃないのね。生きるのも生きれるのも理屈じゃないと、、、。

ここから旅も冬に突入するのかも、蒼味を帯びた風が吹いたとき、それがどこから吹いてるのかと前に進めるか、その冷たさに震えて立ちすくむ、もしくは終わってしまう、そうゆう放浪の旅独特の転機を垣間見た気がした。

・「バスの旅の始まり
この巻から本格的なバスの旅が始まります。今までの滞在型の旅から移動を中心とした旅に変わったように感じました。パキスタン、アフガニスタン、イランと移動して行きますが、特に今は行くことすら難しいアフガニスタンの部分は興味深く読めました。また、それぞれの国の雰囲気の違いが伝わってきました。

深夜特急〈4〉シルクロード (新潮文庫) (詳細)
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